研究課題
上皮型Na+チャネル(ENaC)は、膜2回貫通型のα-, β- and γ-ENaCの3つのsubunitから構成され、N末端がポリユビキチン化される.近年、リドル症候群の原因遺伝子であるENaCは血圧調節因子として注目され、リドル変異が導入されるとユビキチン化されずにENaC膜発現量が増大して皮質集合管でのNa+再吸収が亢進し、容量性に高血圧を発症する.このようにENaC膜発現制御を解明することは、血圧調節に重要であり、高血圧治療に新しい標的や視点をもたらす.しかし、これまでの研究で、ユビキチン化ENaCはエンドサイトーシスされ、エンドソームを経てリソソームで分解されると認識されている一方で、プロテアソーム阻害剤がENaCの分解を抑制するという報告もあるが 、そのメカニズムや詳細な実態については全く明らかにされていないのが現状である.皮質集合管上皮細胞であるA6細胞では、アルドステロンはp38を活性化してENaCユビキチン化を抑制し、膜発現量を増大させてNa+再吸収を亢進すること、逆にp38阻害剤(SB)はNa+再吸収とENaC膜発現量を減少させることを見出した.一方、プロテアソーム阻害剤(MG132とepoxomicine)はこれらの減少をほぼ完全に回復させたが、リソソーム阻害剤では回復しなかった.本研究ではERADで見られる“retrotranslocation”に相当するメカニズムの存在を仮定して研究を進めたところ、1)p97というAAA+ ATPaseが、ENaC分解シグナルにより、ENaCと共に形質膜に局在し(集積し)すること、2)ENaCはプロテオソームの構成因子と局在が増大することが判明し、p97を介するENaCのプロテアソームでの分解の可能性を示唆する結果を得た.
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Neuron
巻: S0896-6273 ページ: 30249-30256
10.1016/j.neuron.2018.03.043