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2016 年度 実施状況報告書

圧負荷心肥大における心筋線維化発症を予測する分子バイオマーカーの探索

研究課題

研究課題/領域番号 15K08190
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

草刈 洋一郎  東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80338889)

研究分担者 南沢 享  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40257332)
岩本 武夫  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90568891)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード心臓線維化 / 心臓肥大 / バイオマーカー
研究実績の概要

心筋細胞と線維芽細胞のFGF23発現の再検討を行った。これまでの結果と同様に、FGF23は線維芽細胞よりも心筋細胞で有意に発現していることが確認された。FGF23の受容体であるFGFR1の発現を確認したところ、心筋細胞よりも線維芽細胞で多く発現していた。このことは、これまでの結果を裏付けることになる。我々は生体動物モデルにおける線維化発症とFGF23の発現変化を確認するため、拡張型心筋症モデルマウスにおける検討を実施した。ΔK210拡張型心筋症モデルマウスは高率に拡張型心筋症を発症し、心臓の線維化も高度に確認することが出来る。本モデル心室筋のmRNAを検索したところ、FGF23が野生型マウスに比べ、有意に発現増加していた。このことは、線維化発症とFGF23の発現が関連していることを示唆し、我々の知見を裏付けるものとなった。我々は更に2型糖尿病モデルラットである、OLETFラットを用いた実験を行った。OLETFラットをヒト若年期相当の5~19週齢時に回転ケージを用いた自発運動群と無運動群を比較したところ、無運動群は糖尿病性心筋症に伴う心臓線維化を発症したが、若年時運動群は心臓線維化を発症しなかった。FGF23mRNAレベルは若年時運動群が有意に低かった。このことは糖尿病性心筋症に伴う心臓線維化発症にもFGF23が関連していることを示唆する。我々は細胞レベルでの検討を進め、線維芽細胞を採取して、リコンビナントFGF23を投与する実験を施行した。残念ながらFGF23を投与しても、線維芽細胞は筋線維芽細胞への分化を示すことはなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

いくつかの生体モデルにおいて、心臓線維化発症とFGF23発現変化の関連性が示されているので、詳細な分子レベルでの解析を考える段階に入った。細胞レベルではFGF23の受容体であるFGFR1の発現が線維芽細胞で確認され、心筋細胞と線維芽細胞での情報のやり取りが示唆される結果を得られている。我々は、FGF23投与によって、線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化を予想したが、残念ながら予想通りの結果を得ることはなかった。しかしながら、わずかのサイトカイン投与によりFGF23による線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化が確認されている。このことは、FGF23が線維化発症へのコファクターであることを示唆する。

今後の研究の推進方策

サイトカイン投与時におけるFGF23投与の実験を進めていく。わずかなサイトカイン投与時にFGF23を投与すると、明らかに線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化がmRNAレベルで確認されているので、蛋白レベルでの検討を進めていく。更に我々は乳頭筋を用いた、ストレス刺激によるFGF23発現変化についても検討をすすめる。現在までに乳頭筋実験において伸展刺激を行うことで心不全マーカーであるBNPの発現上昇が確認されたので、このモデルを用いて線維化因子とFGF23との関連を詳細に調べることが可能になった。

次年度使用額が生じた理由

論文投稿料がドル建てであったため、円建ての請求額が年度末になるまで確定しておらず、わずかな残額(1,326円)が発生してしまった。

次年度使用額の使用計画

次年度での消耗品購入を検討している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Impairment of excitation-contraction coupling in right ventricular hypertrophied muscle with fibrosis induced by pulmonary artery banding.2016

    • 著者名/発表者名
      Kusakari Y, Urashima T, Shimura D, Amemiya E, Miyasaka G, Yokota S, Fujimoto Y, Akaike T, Inoue T, Minamisawa S.
    • 雑誌名

      PLoS One.

      巻: 12 ページ: e0169564.

    • DOI

      doi: 10.1371/journal.pone.0169564.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Tissue thrombin is associated with the pathogenesis of dilated cardiomyopathy.2016

    • 著者名/発表者名
      Ito K, Hongo K, Date T, Ikegami M, Hano H, Owada M, Morimoto S, Kashiwagi Y, Katoh D, Yoshino T, Yoshii A, Kimura H, Nagoshi T, Kajimura I, Kusakari Y, Akaike T, Minamisawa S, Ogawa K, Minai K, Ogawa T, Kawai M, Yajima J, Matsuo S, Yamane T, Taniguchi I, Morimoto S, Yoshimura M.
    • 雑誌名

      Int J Cardiol.

      巻: 228 ページ: 821-827

    • DOI

      10.1016/j.ijcard.2016.11.176.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A new mouse model of skeletal muscle atrophy using spiral wire immobilization.2016

    • 著者名/発表者名
      Onda A, Kono H, Jiao Q, Akimoto T, Miyamoto T, Sawada Y, Suzuki K, Kusakari Y, Minamisawa S, Fukubayashi T.
    • 雑誌名

      Muscle Nerve.

      巻: 54 ページ: 788-791

    • DOI

      10.1002/mus.25202.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] FGF23 promote cardiac fibrosis by activating FGFR1 in presence of TGF-beta stimulation.2016

    • 著者名/発表者名
      Kuga K, Kusakari Y, Akaike T, Minamisawa S.
    • 学会等名
      第33回国際心臓研究学会日本部会(ISHR2016).
    • 発表場所
      東京コンベンションホール
    • 年月日
      2016-12-16 – 2016-12-17
    • 国際学会
  • [学会発表] FGF23によるTGF-betaを介した心臓線維化促進効果.2016

    • 著者名/発表者名
      久我和寛、草刈洋一郎、南沢享.
    • 学会等名
      心血管膜輸送研究会2016 「心血管膜輸送分子の構造・機能・病態の統合的研究戦略」
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2016-10-24 – 2016-10-25
  • [備考] 東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座

    • URL

      http://www.jikei.ac.jp/academic/course/04_saiboseiri.html

  • [備考] 東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座 宇宙航空医学研究室

    • URL

      http://sminamis.m38.coreserver.jp/Jikei_Cell_Physiology/Welcome.html

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公開日: 2018-01-16  

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