研究課題
本研究では,CAPSタンパク質がオキシトシン(OXT)の分泌に寄与するかどうかを明らかにすることを目指している。28年度までに,マウスの血中および脳下垂体におけるOXT濃度の測定を行い,CAPS2 KOマウス血中のOXTレベルが野生型マウスに比べて減少していること,また脳下垂体中のOXTレベルが野生型に比べて増加していること,さらに,OXTニューロン特異的にCAPS1をノックアウトしたCAPS1 cKO (OXT)マウスを作成し,このマウス血中OXTレベルが野生型マウスに比べて減少していること,および脳下垂体中のOXTレベルが野生型に比べて増加していることが明らかになった。また,免疫組織化学によって全OXTニューロン中どの程度の細胞にCAPS1が発現しているかを調べたところ,およそ20%のOXTニューロンがCAPS1を発現していることを明らかにした。また,CAPS依存的OXT分泌と社会性行動について明らかにする目的で,光遺伝学的手法を用いた行動解析を行うため,OXT-Creマウスにアデノ随伴ウイルスを用いてチャネルロドプシンを導入し,OXTニューロン特異的にチャネルロドプシンを発現させることに成功した。今後は本手法をCAPS1 cKO (OXT)マウスおよびCAPS2 KO-OXT-Creマウスに適用し,行動解析中に光刺激によってOXT分泌を起こす事で,CAPSタンパク質依存的なOXT分泌とそれによって制御される社会行動について明らかにする。
1: 当初の計画以上に進展している
CAPS1およびCAPS2 KOマウスにおける血中,脳下垂体でのオキシトシン(OXT)濃度の測定を行い定量解析を行った。また,CAPS1が発現するOXT細胞と,発現しないOXT細胞とをわけて,その量比の定量を行った。ステレオタキシスによるCre発現OXTニューロンへのチャネルロドプシン発現アデノ随伴ウイルスベクター注入により,OXTニューロン特異的にチャネルロドプシン(ChR2)を発現させることを可能にしたため,現在光制御装置による行動解析について推進している。
ChR2を発現したOXTニューロンを光刺激することで,行動様式に違いがでるかどうか調査する。
特になし
通常同様に使用
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