研究課題
平成29年度は、線溶系因子のプラスミノーゲン(Plg)遺伝子欠損(KO)マウスと糖尿病病態マウスを用いて骨損傷後の修復過程での骨髄幹細胞の分化誘導機構に対する線溶系因子の役割と糖尿病の影響を解明する目的で行った。1. 骨損傷で誘導される骨髄幹細胞変化に対するPlgとSDF-1発現の連動機構の解明1). マウスの骨損傷後の骨組織におけるSDF-1発現と他の因子の遺伝子およびタンパク質発現の解析:PlgKOマウスでは、PlgWTマウスに比べ、骨損傷後の骨組織でSDF-1発現の低下を示し、さらにtransforming growth factor-b(TGF-b)の発現低下と連動していた。2). 細胞培養系によるSDF-1発現と他の因子の遺伝子発現解析:マウスの骨髄細胞から分化した骨芽細胞と頭蓋骨の骨芽細胞では、PlgKOマウスでPlgKOマウスに比べSDF-1mRNAとTGF-bの発現が低下していた。以上の結果より、骨損傷で誘導される骨髄幹細胞変化に対する組織線溶系の関与は、SDF-1とTGF-bの発現連動機構が関わることを示唆した。2. 糖尿病病態で誘導される骨髄幹細胞異常における骨修復過程の解析糖尿病誘発マウスは、FACS解析により骨髄幹細胞異常がみられた。また、骨損傷で引き起こされる骨髄造血幹細胞の誘導は、抑制されていた。一方、糖尿病誘発マウスの骨損傷後の修復過程で骨形成能が抑制されていた。さらに、糖尿病誘発マウスの骨損傷後のマクロファージの動員が抑制されていた。以上の結果より、糖尿病は骨髄幹細胞異常を誘導し、骨損傷後の修復障害に関与することが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
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