研究実績の概要 |
呼吸中枢の一つであるpreBotCに存在する呼吸ニューロンの種類と自発的同期活動時の呼吸ニューロンの活性化のタイミング・順序との関係を明らかにした。 GlyT2陽性グリシン抑制性ニューロンでEGFP, GAD65陽性GABA抑制性ニューロンでtdTomatoを発現する遺伝子組換えマウスのpreBotCを含むスライスを使用して、細胞外局所電位(LFP)により自発的同期活動のタイミングを計測し、二光子顕微鏡で記録したカルシウムイメージングデータの解析を行った。これまでの解析から、ニューロンの種類の違いにより「自発的同期活動中の呼吸ニューロンの活性化順序」が決まっている可能性を見出していた。今年度は解析をさらに進め、活性化タイミング・順序ともに、LFPの波形との相関が比較的低いカルシウム変動の波形を持つ呼吸ニューロンのいずれかが各自発的同期活動初期における活性化を担い、LFPの波形との相関が非常に大きいカルシウム変動の波形を持つ呼吸ニューロンの活性化が各自発的同期活動の中期以降に起こることを見出した。また、抑制性呼吸ニューロンと興奮性呼吸ニューロンの間には活性化タイミング・順序に大きな違いは見られず、抑制性呼吸ニューロンは興奮性呼吸ニューロンのゲインコントロールに寄与している可能性が考えられた。これらの結果については、Front. Physiol誌(Doi: 10.3389/fphys.2018.01219; 2018年)へ掲載し、NEUROSCIENCE 2018(2018年11月)ならびに第9回FAOPS(2019年3月)の国際学会でポスター発表も行った。 二光子顕微鏡によるレーザーアブレーション実験では、レーザー出力を細胞の焼却が可能な最低レベルまで下げても、全ての種類の細胞を焼却した場合において呼吸リズム自体が速くなった。従来の報告とは異なり、実験系としては不適であった。
|