研究課題
天気依存性疼痛(天気痛)病態のメカニズムを明らかにする最終年度の研究成果は以下の通りである.臨床研究:2015年3月~2018年6月に愛知医科大学学際的痛みセンターに外来受診した慢性痛患者のうち、天気の変化によって症状が影響する天気痛患者53名について,問診により、基本属性の聴取、および、痛みの程度をNRS、痛みによる生活機能障害をPDAS、不安・抑うつの症状をHADS、痛みの破局化傾向をPCSを用いて評価した。患者の内訳は,男性19名、女性34名であった。平均年齢は42.7±19歳(13歳~82歳)で、当センターに受診するまでに受診した診療所数は平均4.6±3施設であった。痛みの程度としてNRSは平均4.7±2、PDASは17.3±12、HADSの不安は6.8±4、抑うつが6.8±4、PCSは30.9±10であった。天気痛患者のプロファイルを検討したところ、性別においては女性が多かった。また、痛みに加えて、不安・抑うつはそれほど高くないが,破局化思考が高い傾向にあった。動物実験:昨年と同様に,野性型の雌雄マウスに対し,40hPa分の低気圧暴露を行い,前庭神経核のc-fos免疫染色を行った.低気圧暴露を行うと,上前庭神経核におけるc-fos陽性細胞数が両性ともに有意に多いことを確認した.これは上前庭神経細胞の興奮を表し,この細胞群に入力している前庭に気圧を感知している場所が存在することを意味する.一方,他の神経亜核(外側,内側,下)細胞においては,低気圧非曝露群と有意な差は見られなかった.また,低気圧曝露中の行動量を解析したところ,曝露中に行動量が増えている兆候はないことから,前庭神経細胞の興奮は体位変化にともなう前庭系の興奮に起因するものではないことが分かった.以上から,上前庭神経核細胞に入力する三半規管に気圧感受メカニズムに関与する部分が存在することが明らかとなった.
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https://www.aichi-med-u.ac.jp/files/soumu/2018topics05.pdf, https://www3.chubu.ac.jp/research/news/24656/