研究課題
癌や心筋症は、特定の体細胞変異によって引き起こされているが、疾患部位の採取が困難なことや血管など正常組織混入の問題があり十分解明されてはいない。 申請者は、次世代シーケンス技術を使い、体細胞変異のモデル疾患として孤発性(家族歴のない)拡張型心筋症の原因変異の同定を行った。既知の遺伝子変異を網羅的に解析するアンプリコンシーケンス法を開発し、2987遺伝子から世界で初めて生存時の孤発性拡張型心筋症の患者さんに存在する3箇所の新規アミノ酸変異を発見した。これらの変異を挿入したノックインゲノム編集マウスを作製した。このマウスで心筋の機能解析を行ったが、わずかに心筋収縮能力の低下を認める程度であり直接的な心筋症発症の原因遺伝子ではないと判断した。そこで、また、大規模ゲノム変異を解析するため、全遺伝子のエクソン領域を増幅する実験条件を検討しているが、機器のトラブルが発生し、次世代シーケンサーの交換・点検などに時間がかかっている。微量組織からゲノムDNAの精製に成功し、高純度のゲノムが分離できている。また、全ゲノムエクソン領域にマルチプレックスPCRでもきれいな増幅が確認され、解析データが取得できた。現在、大量のシーケンスデータを解析している。新規変異以外に既知の変異遺伝子を発現ノックインマウスを作製し、拡張型心筋症発症マウスおよび肥大型心筋症発症マウスを作製した。このマウスの心臓の領域毎の全遺伝子発現の解析を行っている。
3: やや遅れている
微量組織から全ゲノム遺伝子を抽出し、全エクソン領域を増幅する手技を確立した。この手法で原因不明の拡張型心筋症の発症機構の解明を行っている。また、変異遺伝子を発症するゲノム編集ノックインマウスの作製に成功した。しかし、ヘテロでは明確な心筋症の発症は認められず、現在ホモマウスを作製している。次世代シーケンサーの不調で解析が遅れているが、修理が完了し、全エクソン領域の遺伝子解析が終了した。現在、大量のデータを解析している。
これまでの明確な遺伝子変異が検出されていない心筋症の組織から全ゲノムDNAを抽出し、全エクソン領域を増幅する。増幅遺伝子を次世代シーケンサーで解析し原因遺伝子の解明を行う。次世代シーケンサーのトラブルが連続したが、機器を新規の機器に入れ換え2回行ったテストランでは良好な結果が得られており、大量のゲノムデータを取得している。このデータ処理をさらに継続する。また、原因遺伝子の解明を加速するため、マウスの卵管内で直接ゲノム編集を行い、高速でノックインマウスを作製する技術を確立することに成功した。この技術を用いて今後、すべての変異ノックインマウスを作製する。
次世代シーケンサーのトラブルが連続し、修理やメンテナンスに時間が必要になった。さらに、修理後の点検でも正常の動作せず、最終的に機器を交換して動作が回復した。機器トラブルのため実験計画に若干の遅れが生じている。遅れている研究は、平成30年度実施する予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)
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