研究課題/領域番号 |
15K08211
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
増田 慎也 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 糖尿病研究部, 研究員 (80638403)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | Notch2 / Cxcl1 / サテライト細胞 |
研究実績の概要 |
骨格筋は損傷後に幹細胞であるサテライト細胞の活性化、分化によって速やかに修復される高い再生能力を持ち、恒常性を維持している。骨格筋への飽和脂肪酸負荷は筋再生を阻害し、筋の恒常性の破綻につながることが知られている。 骨格筋の恒常性維持におけるNotch2シグナルの作用を解明するため、ヒト筋管細胞に飽和脂肪酸であるパルミチン酸を投与し、分泌が誘導されるサイトカインを網羅的に調べたところ、CXCL1分泌が亢進することが判明した。また、C2C12筋管細胞にパルミチン酸を投与してもCXCL1 mRNA発現量の増加が認められた。 次にCXCL1のサテライト細胞の分化に対する作用を検討した。マウスから単一筋線維を採取し、初代培養によってサテライト細胞を採取した。サテライト細胞にsiRNAを用いてCXCL1遺伝子ノックダウンを行い、24時間後にサテライト細胞の増殖能を調べたところ、CXCL1ノックダウンによって細胞数が有意に減少し、また増殖段階にある細胞の比率も減少していた。次に、CXCL1ノックダウン96時間後にサテライト細胞の筋管細胞形成能を調べた。CXCL1ノックダウンによって筋管細胞の形成が有意に抑制され、より未分化の段階にある細胞の割合が多いことが示された。また、CXCL1ノックダウンを施したサテライト細胞にCXCL1リコンビナントタンパク質を作用させた場合、上記の変化が緩和される傾向が認められた。 また、CXCL1ノックダウンに伴うサテライト細胞分化の変化にNotch2シグナルが関与するか否か検討するため、Notch2のターゲット遺伝子であるHeyL遺伝子発現を調べたところ、予備実験においてはCXCL1ノックダウンによってHeyL発現が低下し、Notch2シグナルの減弱によって筋分化が抑制される可能性が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、Notch2シグナルのターゲットしてGDF11を介した筋サイズ調節機構の解明を狙いとして研究計画を立てていた。しかし、その後の実験によって、GDF11がNotch2のターゲットであるという直接的なエビデンスが得られず、筋恒常性破綻モデルである高脂肪刺激が発現を惹起するサイトカインの同定と、同定されたサイトカインであるCXCL1が筋サテライト細胞の筋再生能力に及ぼす影響を検討した。CXCL1のノックダウンによって明らかに筋再生が抑制されるデータが出ており、また予備データながらNotch2シグナルが筋再生抑制に関与する可能性を示すデータが得られたため、研究計画は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、CXCL1による筋サテライト細胞のNotch2シグナルへの影響を検討し、筋の恒常性におけるCXCL1およびNotch2シグナルの作用を検討する。また、サテライト細胞にはNotch2のみならずNotch1,3も発現していることが知られており、これら2つのNotchについての検討も併せて行う。Notchシグナルの活性化はNotchタンパク質のWestern blottingおよびターゲット遺伝子(Hey,Hesファミリー)のPCRにて評価し、また必要に応じてNotchシグナル阻害剤であるγ-セクレターゼ阻害剤を使用して検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
内定日が10月21日であり、実際の交付までに必要な消耗品・器具は購入済みのため、年度内に予算を消化することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はWestern blottingや免疫染色に必要な抗体、ELISAキット、実験動物、サテライト細胞培養に必要な培地や添加物等、前年度まで必要のなかった、あるいは少量しか必要のなかった試薬・器具を使用する予定であり、これらを購入するために使用する。
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