研究課題
サーカディアンリズムと外部環境の同調は眼からの非視覚的光情報で調整される。サーカディアンリズムの変調は睡眠障害・うつ病・肥満・高血圧・糖尿病・心血管疾患・がんなどの多種多様な疾患のリスクと関連することが報告されている。加齢などにともない水晶体が混濁する(白内障)と、特に短波長光で水晶体光透過率が低下し、非視覚的情報が減少することによるサーカディアンリズム障害を起こす可能性がある。近年、対光反射(Post illumination pupil response: PIPR)の持続測定によって非視覚的光感受性を非侵襲的に定量化する方法が報告された。本研究の目的は、白内障患者と健常者を対象に白内障重症度と瞳孔対光反射から推定した非視覚的光感受性の関連を明らかにすることである。研究計画での検査項目はPIPR、白内障重症度測定(細隙灯顕微鏡で水晶体写真撮影をし、LOCSⅢ分類にて評価する)、サーカディアンリズム指標(皮膚温リズム、身体活動リズム、メラトニン分泌量、光曝露リズム)、血液検査、既往歴に関する質問票である。当初研究計画の初年度目標対象者数の白内障患者120名について光感受性測定を行うことができた。健常者の初年度目標対象者数であった500名には届かなかったが300名について光感受性測定を行うことができた。また本研究グループの白内障手術に関する観察研究の成果も科学誌に掲載され(J Epidemiol. 2015;25:529-535)、本研究の重要性を示す知見となる。
2: おおむね順調に進展している
健常者の初年度目標対象者数には若干届かなかったものの、研究協力者と緊密な連携が取れ関連論文が科学誌に掲載されたため。
次年度は当初研究計画の2年目目標対象者数を若干上方修正し、最終目標対象者数を達成したいと考えている。またデータ整理についても並行して実施する。
当初予定の対象者数より若干少なく残金が発生した。
次年度は当初研究計画の2年目目標対象者数を若干上方修正しており、次年度に研究費繰越金を使用して実施する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
BMJ Open
巻: 5 ページ: e007930
10.1136/bmjopen-2015-007930.