研究課題
非荷重状態は筋萎縮と骨量減少を引き起こすことが知られている。私共は、マウスで、荷重状態が筋・骨連関に及ぼす影響におけるアイリシンの役割を検討した。マウスを尾部懸垂あるいは両側の坐骨神経を切断することにより非荷重状態のマウスモデルとした。非荷重状態は筋量、海綿骨密度を減少させた。筋・骨連携マイオカイン発現解析では、非荷重により、アイリシン発現を減少させた。筋・骨連携因子発現と骨密度や骨吸収因子の関連を分析したところ、ヒラメ筋のアイリシン発現のみ、海綿骨密度と正相関、脛骨RANKL 発現と負相関を示した。In vitroの検討では、マウス筋芽細胞株において、剪断ストレスはアイリシン発現を増加させ、この増加はBMPあるいはPI3キナーゼシグナルの阻害剤によって有意に抑制された。これらの実験結果より、マウスにおいて、非荷重による筋量と骨密度減少に、筋におけるアイリシン産生抑制が関与することが示唆された。また、アイリシンは、BMPや筋タンパク合成mTORシグナルを介して、メカニカルストレスによって筋で誘導されること、筋から分泌されたアイリシンは、筋・骨連携因子としてメカニカルストレスによる骨量増加に寄与するものと考えられた。一方で、ストレス増加作用が少ない2 gの過重力が、抗重力筋と骨の遺伝子発現におよぼす影響と前庭系の関与を検討した。両側の前庭系を破壊したマウスを、大型遠心機を用いて2 gの重力環境で3日、2週、8週間飼育した。過重力は多くの筋分化遺伝子の発現に影響をおよぼさなかったが、脛骨における骨遺伝子の解析では、2週間の過重力によるアルカリホスファターゼ発現増加は前庭破壊によって有意に阻害された。この結果より、2 gの過重力負荷は、前庭系を介する機序により骨芽細胞分化因子の発現を増加させることが示唆された。
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