研究課題
脳領域の概日振動の位相は、哺乳類体内時計の中枢である視交叉上核から時刻情報を伝えられることによって制御されている。しかしながら、視交叉上核の時刻情報がどの様に脳領域に伝えられ、どの様に概日振動が制御されているのかは未だ明らかにされていない。これまでに申請者が独自開発した“移植培養系での振動再構成”を用いた研究によって、時刻情報伝達には視交叉上核と脳領域の物理的結合が重要であることがわかった。そこで本研究では、視交叉上核と室傍核領域の物理的結合を担う神経連絡、またはグリア細胞が時刻情報伝達機構においてどのような機能を担っているのか明らかにすることにした。最初に行った室傍核領域由来のグリア細胞の移植では、消失した室傍核領域の概日振動を回復させることができなかった。次に神経連絡について検証を行った。これまでの知見から振動の回復を担う候補因子としてGABAに注目した。培養下の組織にGABA受容体のアゴニストおよびアンタゴニストの投与を行うと振動へ影響を与えることがわかった。また細胞内クロライド濃度を変化させると、視交叉上核と室傍核領域の振動の位相差に影響を与えることが明らかとなった。最終年度は、現在までに得られているデータを参照し、より詳細な解析を行った。その結果、正常時および振動再構成後における室傍核領域と視交叉上核の位相差に関する詳細データを得ることができた。また、時刻情報伝達機構における神経連絡の必要性の再確認を行った。これらの結果をまとめ、論文投稿を行った。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)
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