研究課題/領域番号 |
15K08223
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
前川 文彦 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境健康研究センター, 主任研究員 (40382866)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 性分化 / 性ステロイドホルモン / 脳 / 内分泌かく乱物質 |
研究実績の概要 |
ほ乳類や鳥類等の恒温動物では生殖腺のみならず「脳」も性分化することで内分泌・行動の雌雄差が形成される。従来、これらの動物では発達期に「性腺から分泌される性ホルモン」が脳に働くことで性特異的な構造・機能が形成されると考えられてきた。一方、近年我々が行った研究から「脳の性染色体」も脳の性差形成に重要な役割を果たすことが明らかになっている(Maekawa et al., Nature Communications, 2013)。本研究では、新規に見つかった「脳の性染色体」の影響を中心に、「性ホルモン」と「性染色体」がそれぞれ、どのような仕組みで脳を性分化させるのか分子基盤を解明するとともに、その分子基盤が内分泌かく乱物質の有害性評価に利用可能であるかフィージビリティ・スタディを行う。特に「脳の性染色体」が神経ステロイド産生を介して脳の性差形成に重要な役割を果たす可能性も明らかになっており、本研究では新規に見つかった「染色体による脳の性分化」の分子基盤に関して特に焦点を置いて解明を目指している。 本年度は、DNAマイクロアレイ法とRNA-seq法と呼ばれる遺伝子発現を網羅的に解析する手法を用いて、視床下部で性特異的に発現する遺伝子の探索を行い、雌雄に特異的に発現する遺伝子群を見つけ出した。また、その中でも特に性染色体上に存在する遺伝子群の同定を行った。それらの遺伝子発現が性ホルモンや内分泌かく乱物質の曝露により影響をうけるかどうかに関しては、現在発達期に内分泌かく乱物質を曝露された個体の視床下部を用いて詳しく調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳の性分化に関わる遺伝子群を網羅的な解析手法で見つけることに成功しており、またその遺伝子発現のバリデーションに関しても、Realtime PCR法で確認し、網羅的解析と一致した発現の雌雄差を捉えることに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
このような脳の性分化に関わる遺伝子群が、内分泌かく乱物質の影響下でどのように発現変動が起こるのか調べるととともに、エピジェネティクスなどそのメカニズムの解明を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度中の計画はほぼ順調に進行したが、研究の一部、特にメカニズム研究等に関して次年度に一括して研究を行った方が無駄無く研究が遂行できると判断したため、そのための予算を繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
メカニズム研究の重点化を行い、効率的に予算を利用する。
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