研究課題
ガス状生理活性物質である一酸化窒素(NO)は、さまざまな蛋白質をS-ニトロシル化修飾することにより機能を制御している。骨格筋小胞体膜に局在するカルシウム放出チャネルである1型リアノジン受容体(RyR1)は、NOによって3636番目のシステイン残基が修飾され、細胞質にカルシウムを放出する(NO-induced calcium release (NICR))。本研究では、このシステインをアラニンに変異させたRyR1-C3636Aマウスを用いて研究を実施した。トレッドミル走行装置によって、野生型マウスとRyR1-C3636Aマウスを比較した。走行速度を加速させ、短期的な走行能力・疲労度を比較したところ、両者に差は見られなかった。一方、長期(1ヶ月、1時間/日)に走行させる試験を実施したが、両者とも走行状況に差がなく、機能面ではNICRの影響は見られないと考えられる。現在、筋肥大への影響なども踏まえて、さらなる研究を展開しているところである。骨格筋はエネルギー代謝・糖代謝において重要な臓器である。RyR1-C3636Aマウスに糖負荷試験・インスリン負荷試験を実施したところ、野生型マウスと比較して、血糖値の推移に変化がみられた。糖代謝へのNICRの寄与が示唆されるデータが得られており、運動だけでなく代謝も含めたNICRの意義について研究を進めた。このほか、骨格筋が萎縮するストレプトゾトシン誘発1型糖尿病モデルマウスを用いた解析も実施した。さらに、NICRも含めた小胞体カルシウムシグナルに関する総説論文を共著で発表し、Antioxidant & Redox Signaling誌に掲載された。
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Antioxidants & Redox Signaling
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doi.org/10.1089/ars.2018.7498
https://www.toho-u.ac.jp/med/lab/lab_uniphysio.html
http://gyoseki.toho-u.ac.jp/thuhp/KgApp