研究課題
これまでに我々は、n3長鎖不飽和脂肪酸受容体であるGPR120、および短鎖脂肪酸受容体GPR43がそれぞれに、インスリン抵抗性環境下において代謝改善作用を有することを報告した。今回我々は、上記の脂肪酸受容体が多能性幹細胞(iPS細胞、ES細胞)に高発現していることを見出したことから、これらの受容体が幹細胞機能調節作用を有するかどうか、組織・細胞再生を促すことにより代謝改善効を生むのではないかという点について検証した。そこで本研究では、多能性幹細胞および分化過程における脂肪酸受容体GPR43、GPR120作用の同定、次に幹細胞分化過程における脂肪酸受容体GPR43、GPR120作用の同定、および脂肪酸受容体刺激による組織、細胞機能変化について解析した。これまでの成果は以下のようである。(1) 培養ヒトiPS細胞(clone:201B7)にGPR43あるいはGPR120アゴニスト、あるいはアンタゴニストを24時間附置後、レゾルフィン蛍光アッセイによる幹細胞増殖能定量解析を行ったところ有意な変化は認められなかった。一方、骨格筋細胞分化誘導系においてGPR120アゴニストが分化促進作用を示すことを見出した。また、GPR43アゴニスト附置によっては有意な変化を認めなかった(投稿準備中およびBBRC 2015)。(2) 分化細胞における機能変化として、GPR120アゴニスト n3長鎖不飽和脂肪酸刺激による血管内皮および平滑筋細胞におけるインスリン抵抗性改善作用を報告した(成果論文1およびNutrients 2015)。(3) 更に、インスリン抵抗性条件下における血管機能の改善機序として、soluble guanylate cyclase (sGC) が血管拡張能調整作用を司ることを報告した(成果論文2およびPhysiol Rep 2016)。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
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