敗血症性急性腎障害(AKI)の発症機序について、検討した。本プロジェクトでは、敗血症に伴うAKIの発症において近位尿細管におけるパターン認識応答が非常に重要であることが証明された。また、このAKI発症の端緒となる現象は、後期の血行動態変化に対して、代償的に働いており、敗血症性AKIの病態の複雑さが再確認された。全身性炎症について、単一サイトカインの中和によるAKIの緩和は得られなかったが、単球・マクロファージが尿細管由来のAKIに対して、増悪にも緩解にも働くことがわかった。同時に、血管側からの作用として、尿細管由来機序とは独立し、糸球体ろ過量調節に重要である機序が判明した。
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