本研究は、網膜における血管と血管周囲に存在する神経との相互作用について明らかにすることを目的とした。正常ラットに少量の NMDA を硝子体内投与すると、視神経節細胞及びアマクリン細胞に発現している神経由来 NO 合成酵素が活性化され、NOの産生・遊離が亢進し、それがグリア細胞に作用して網膜血管が拡張することが示された。一方、網膜神経傷害時には、NMDA による網膜血管拡張に、誘導型 NO 合成酵素由来の NO が関与することも示された。以上より、網膜血管拡張には、神経細胞及びグリア細胞から産生・遊離される NO が重要な役割を演じていることが示された。
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