研究課題/領域番号 |
15K08253
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
高橋 英夫 近畿大学, 医学部, 教授 (60335627)
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研究分担者 |
劉 克約 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40432637)
西堀 正洋 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50135943)
丹羽 淳子 近畿大学, 医学部, 講師 (60122082)
小堀 宅郎 近畿大学, 医学部, 助教 (60734697)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マクロファージ分化 / 血管新生 / 骨髄ニッチ / HMGB1 |
研究実績の概要 |
High mobility group box1(HMGB1)は、免疫応答に大きく関与している。申請者らは、これまで、HMGB1が脳梗塞、アテローム性動脈硬化症などの原因因子で、抗HMGB1抗体でこれらを抑制できることを報告した。一方、ホメオダイナミクス影響下でのM2マクロファージ分化・増殖と活性化による、幹細胞の分化・増殖を含む組織修復機構が注目されているが、申請者らは、再生誘導因子としてHMGB1を特定している。本研究で、in vitro血管新生実験モデルを用いて、マクロファージ分化と血管新生への再生誘導因子の効果について検討したところ、HMGB1がマクロファージ分化後のブースターとして働くことを見いだした。これまでの分化と血管新生の機序についての見解とは異なる結果を示唆するデーターが出てきた。炎症反応における組織障害と再生誘導効果の二面性をもつと考えられてきたメディエーターについても、マクロファージ分化と血管新生への関与についての検討を行う。 再生において、その機序の中心となるのは血管新生、特にニッチの新生である。ニッチの機能が幹細胞の機能を特定する。申請者らが開発して保有する、自発運動負荷による再生誘導動物モデルにおいて、脳卒中後の優れた血管再生機序が見られた。これには、視床下部のホメオスタシス中枢の活性化、さらには骨髄の構造の維持と幹細胞の増加が見られた。さらに、骨髄ニッチの新生について検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Damage associated molecular patterns(DAMP)は、炎症反応における障害と再生を通して、一貫して関与することが知られてきたが、未だ不明である。研究1年目にして、DAMPの中で最も注目されるHMGB1の障害と再生誘導機序について示唆するデーターが出てきた。 また、再生誘導動物モデルにおいて、骨髄ニッチの新生を示唆するデーターが出てきた。 よって、上記進捗状況と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
in vitro実験において、HMGB1を始めとしたDAMPは、その受容体の特性によって血管新生などの再生機序が決定されているようなので、受容体KO細胞を作製して評価を行う。 in vivo実験において、骨髄ニッチの解析の為に安定した組織染色を行なう必要がある。現在のところこの実験系の確立を行なっている。専門家に本染色法の指導を受けている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度にまたがった実験計画を遂行中で、予算金額の試薬発注をすでに行っている。
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次年度使用額の使用計画 |
in vitro血管新生実験モデルを用いて、マクロファージ分化と血管新生への再生誘導因子の効果について検討をおこなう。
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