研究課題/領域番号 |
15K08255
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 准教授 (90341453)
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研究分担者 |
渡辺 拓也 福岡大学, 薬学部, 助教 (90509647)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 尿酸 / パーキンソン病 |
研究実績の概要 |
平成27年度研究計画では、in vitro PDモデルでの尿酸の作用を検討する予定であったが、細胞培養条件、PDモデルの条件設定が未だ確定できていない。細胞株の選定を含めて再度検討を進めていく必要がある。しかし同時進行にて条件検討していた動物実験において進展が認められた。6-OHDA片側注入PDモデルマウスに対し、1週間前より高尿酸食を与えていた群では、PD群と比較して、アポモルフィン誘発回転運動での障害側回転運動数の有意な減少が認められた。またロータロッドテストでの回転運動時間が回復した。この時の血中尿酸濃度は通常食摂食群の約4倍であった。脳内尿酸濃度については測定できていないが、高尿酸血症時にPD運動機能低下に対する保護効果があることが示された。さらに、線条体領域のTH陽性細胞に関する組織免疫学的な予備検討では、6-OHDA注入による線条体領域のTH陽性細胞の減少が、高尿酸血症群で抑制されていた。再現性の検討が必要であるが、高尿酸血症時には6-OHDAによるドーパミン神経細胞死が回避されていることを示す重要な知見である。 以上の結果は、本研究課題を進める上で極めて重要な「尿酸はPD病態を改善する」という仮説を動物モデルの表現型にて明らかにしたもので、今後の研究遂行の核となるものである。また本結果は臨床報告を動物モデルにて再現していると考えられ、本課題の背景、仮説が確認できた点において重要な成果と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度途中での追加採択でスタートが遅れたものの、動物実験で、尿酸のPD病態における行動薬理学的、組織免疫学的な改善、保護作用が認められ、計画の1段階目に到達できたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通りにin vivo、in vitro実験を進める。特にin vitro PDモデルの作成が遅れているが、予定していた細胞株の変更も含めてた条件検討を進め、早急にモデル確立を行う。すでに尿酸の作用は確認できているので、次年度以降は、尿酸の標的分子あるいは細胞内シグナル伝達への影響についての実験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題が10月時点での追加採択だったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通りの使用計画とする。主に当該年度に検討が終了しなかった細胞実験関連の物品費として使用する。
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