研究課題/領域番号 |
15K08256
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
猪瀬 敦史 (丸山敦史) 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10431438)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | ヘムオキシゲナーゼ-1 / ノンコーディングRNA / 転写制御 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、申請者が見出した新規ノンコーディングRNAのヒトヘムオキシゲナーゼー1(HO-1)遺伝子発現制御におけるメカニズムを解明することである。本目的を達成するために、以下の検討を行った。 1.eRNAE2sの全長解析:以前の研究により、申請者はHO-1 E2エンハンサー領域から少なくとも3種のncRNAシグナルを見出した。それらの全長を決定するために、RNA環状化を行い、全長決定を試みた。特に発現量の高いeRNAE2-3については、eRNAE2-3はpolyAを持たない931baseの転写産物が主であることがわかった。しかし、3'primer walking解析により、、約1.3kbおよび約2.5kbの転写産物も取得していることから、その長さは多様であると考えている。 2.ヒトHO-1遺伝子エンハンサー由来eRNAE2sに相互作用する因子の同定:eRNAE2sによるHO-1遺伝子発現制御機構を解明するために、eRNAE2sに相互作用するタンパク質の検出を試みた。in vitro合成したeRNAE2-3:931baseを担体に固定し、HeLa細胞の核抽出液から、相互作用するタンパク質を検討したが、特異的結合タンパク質は今のところ取得できていない。 3.ヒトHO-1遺伝子以外のeRNAE2s標的遺伝子の同定:この目的のために、eRNAE2-3ノックダウン細胞を用いてマイクロアレイ解析を実施した。その結果、AKR1C1遺伝子を同定した。 今後は、HO-1とAKR1C1遺伝子の発現にeRNAE2sがどのように貢献するかを焦点に検討を進めて行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・本研究課題は、2015年10月に追加採択されたため、研究開始が遅れた。 ・二つのヒトHO-1遺伝子エンハンサー領域(E1およびE2)から産生されるncRNAの全長をRNA環状化実験を行い、次の通り決定した。eRNAE2-1:1067base, eRNAE2-3:931base, eRNAE1-4:806base。 ・eRNAE2-3に相互作用するタンパク質の同定を試みたが、特異的結合タンパク質の同定には至っていない。 ・eRNAE2-3により発現制御される遺伝子として、新たにARK1C1遺伝子を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果に基づき以下の項目について実施する予定である。 ・eRNAE2-3により発現制御される遺伝子として、新たにARK1C1遺伝子を見出した。そのため、HO-1遺伝子とAKR1C1遺伝子の発現制御にeRNAE2-3がどのように関与するかに焦点をあて、研究を進める。特に、近年ncRNAが核内ドメイン形成に関与するとの報告がある。そこで、酸化ストレス時の核内におけるHO-1およびAKR1C1遺伝子座の挙動とその変化について検討を行いたい。 ・HO-1遺伝子とAKR1C1遺伝子は過酸化脂質の無毒化に関与するとの報告がある。そこで、eRNAE2-3の脂質過酸化に対する貢献を検討する。 ・eRNAE2-3に相互作用するタンパク質を同定・取得するために、条件検討を進める。 研究代表者は所属機関を異動したため、研究の再開には時間を要する。しかし、確実に研究を推進していきたいと考えている。
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