研究課題/領域番号 |
15K08262
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
後藤 利保 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (00517518)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | WDR26 / Wnt / ユビキチン化 / シグナル伝達 / アフリカツメガエル |
研究実績の概要 |
本研究はCanonical Wntシグナル伝達経路におけるWDR26を介したβ-cateninの分解機構の解明を目的する。当該年度は、初年度に引き続き、計画されていた下記の項目を実施計画とした。 1)LC/MS/MS解析で得られたWDR26の結合タンパク質(GID4、GID5、GID8)に関して、β-cateninの分解能を確認する。2)LC/MS/MS解析では検出できなかった他のGID関連の脊椎動物相同遺伝子(GID1、GID2など)に関しても、同様にβ-cateninの分解能を確認する。3)Wntシグナル伝達経路における新たなポリユビキチン化によるβ-cateninの分解機構を解析する。 当該年度の成果として、LC/MS/MS解析の結果とは異なり、WDR26とGID4、GID8の結合は確認できなかったが、WDR26とGID1、GID2、GID3、GID5、GID9との結合が確認された。GID5以外のGID1、GID2、GID3、GID4、GID8、GID9がβ-cateninの分解能を有しており、GID2、GID4、GID8、GID9はWDR26と相乗的にβ-cateninを分解することが分かった。また、脊椎動物からショウジョウバエまでに保存されているβ-cateninの23のリジン残基の中からWDR26によるユビキチン化部位を特定するために、β-cateninのデリーションコンストラクトを作成し実験を行った結果、β-cateninの新規の特定領域(7リジン残基にまで特定済み)がWDR26によりユビキチン化されることが分かった。現在、7つのリジン残基に関するβ-cateninのKRミュータントを作成し、WDR26によるユビキチン化部位の特定を試みている。 当該年度の研究内容は第39回日本分子生物学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度の実施計画は予定通りに遂行され、研究全体での進捗度も概ね順調と考えられる。WDR26と関連するGID関連タンパク質の多くがβ-cateninの分解に寄与しており、一部のタンパク質ではβ-cateninの分解に対する相乗効果も確認された。さらに、WDR26のβ-cateninの分解に関わるユビキチン化領域は今までに報告されていない領域である。最終年度にβ-cateninの新規ユビキチン化部位を同定する予定であり、GID関連タンパク質との共作用と合わせて、新たな知見を示す可能性が極めて高く、研究は順調に進んでいると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2年間の研究は順調に進んでおり、最終年度には以下のような研究計画を遂行していく予定である。 1)WDR26によるβ-cateninの分解に関わるβ-cateninの新規ユビキチン部位(リジン残基)を特定する。2)GID関連タンパク質によるβ-cateninのユビキチン化への影響をWDR26との複合体形成との関わりから探索し、新規のβ-cateninの分解機構を明らかにしていく。3)WDR26及びGID関連タンパク質のWntシグナル伝達経路での役割を解明していく。
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