細胞膜におけるリン脂質の非対称的な分布は、真核細胞で見られる普遍的な現象である。すなわち、ホスファチジルセリンなどのアミノ基を持つリン脂質は、細胞膜の内層に限局し、細胞膜の外層には分布しない。細胞膜におけるリン脂質の非対称的分布の分子機構は不明であり、細胞膜リン脂質の物性における大きな謎である。本研究では、細胞膜の網のリン脂質を移層する酵素、リン脂質フリッパーゼとしてP4型ATPaseであるATP11AとATP11Cを同定し、その生化学的特性を解析した。また、P4型ATPaseのベータサブユニットであるCDC50Aの機能に必須なアミノ酸を同定した。
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