研究課題
膜画分を対象にした非標識定性プロテオミクスによって見出していた細胞膜ロイシン受容体の候補因子について、昨年度から継続して遺伝子ノックダウンによる解析を実施した。その結果、候補因子のひとつとして挙げられていたIRS4(Insulin receptor substrate 4)の遺伝子ノックダウンによりmTORC1の活性が顕著に低下することを見出した。しかしながら、その後の詳細な解析により、IRS4のリン酸化はインスリンやインスリン様増殖因子Iの刺激により上昇するが、ロイシンを含むアミノ酸では変化しないことが明らかとなった。従って、IRS4の遺伝子ノックダウンによるmTORC1の活性低下はロイシンからのシグナル伝達に直接関連したものではなく増殖因子からmTORC1に入力するシグナルの減弱によるものと考えられる。最終的に、当該研究期間中にロイシン刺激依存的にmTORC1活性化に関与していると思われる因子は見出されなかった。以上の結果を受けて、2種類の細胞株間の膜タンパク質の発現プロファイルの比較のみから適切な候補を絞り込むことは困難であることが強く示唆された。これは、バックグラウンドが大きく異なる2種類の細胞株間の比較では、ロイシン感知機構以外の細胞株の差異を反映した膨大な情報に必要な情報が埋もれてしまうためと考えられる。そこで、ロイシン感知機構の異なる細胞株の情報をより多く集めることが重要であると考え、様々な細胞株についてロイシン感知機構の分類をおこなった。また、同一細胞株でもロイシン感知機構のタイプが切り替わるような培養条件がを見出すための探索的な条件検討をおこなった。
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Mol Cell Biol.
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