研究課題
1. 神経分化制御におけるElongin Aの標的遺伝子の同定野生型およびElongin A-/- 型のマウスES細胞をレチノイン酸(RA)非添加で4日、添加して4日の計8日間培養して胚様体を形成させた。培養開始前、開始後4日、6日ならびに8日目のES細胞あるいは胚様体を回収し、ゲノムDNAとタンパク質をクロスリンクさせ断片化した後、抗Elongin A抗体を用いてElongin A/RNAポリメラーゼII/DNAから成る複合体を免疫沈降させた。沈降物を脱クロスリンクした後DNAを精製し、共同研究者のJoan Conaway博士が在籍するStowers Institute(米国)に設置のHiSeq 2000により塩基配列を決定した。Input DNAを対照として解析した結果、β-actin、GAPDH等のhousekeeping遺伝子上にはRA添加の有無に関わらずほぼ同等のElongin Aの集積が認められたが、homeobox遺伝子群に属するいくつかの遺伝子においては、RA添加前はほとんど集積がないのに対してRA添加後に著しい集積の増加が認められることが判明した。また、small nuclear RNA(snRNA)やsmall nucleolar RNA(snoRNA)をコードする遺伝子のいくつかにおいては、RA添加前も一定の集積を認めるが、RA添加後にElongin Aの有意な集積の増加が認められることが判明した。2. DNA傷害(-)型転写抑制によるEloAのE3機能活性化に関わる因子の同定1.の課題の推進に全エフォートを傾けたため、着手できていない。
3: やや遅れている
抗Elongin A抗体と抗pol II(N20)抗体とを用いたChIP-sequence解析を実施し、Elongin Aがhomeobox遺伝子群のみでなく、snRNA遺伝子やsnoRNA遺伝子等、複数のnon-coding RNAをコードする遺伝子上に顕著な集積を認めることを確認できた。
抗Elongin A抗体を用いて実施したChIP-sequence解析の結果、Elongin Aがhomeobox遺伝子群のみでなく一群のsmall nuclear RNA遺伝子の発現をも制御している可能性が高くなったため、当初予定していた「DNA傷害(-)型転写抑制によるElongin AのE3機能活性化の機構の解明」の課題は実施せず、代わりに「レチノイン酸刺激によるElongin Aのhox遺伝子ならびにsmall nuclear RNA遺伝子上へのリクルートメントの機構の解明」の課題を実施することとした。
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J. Biol. Chem.
巻: 290 ページ: 15030-15041
10.1074/jbc.M114.632794.