研究課題/領域番号 |
15K08279
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
麻生 悌二郎 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (20291289)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Elongin / 転写伸長 / RNAポリメラーゼII / ユビキチンリガーゼ / 胚様体 / レチノイン酸 / FRET |
研究実績の概要 |
1. DNA傷害(-)型転写抑制によるEloA-ユビキチンリガーゼ(E3)機能活性化に関わるシグナルの解析 生細胞内でElongin A(EloA)-E3複合体の形成を確認するため、EloAはHalo-tagとCul5はmCherry-tagとの融合タンパクの形で発現させて、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法を用いて各種刺激後のEloA、Cul5間の相互作用を解析した。両因子間の会合は、UV照射等のDNA傷害刺激ならびにα-amanitin、DRB等のRNAポリメラーゼII(pol II)阻害剤により促進された。また、EloA依存性の転写を活性化することが知られているERストレス誘導剤thapsigargin、栄養飢餓誘導剤histidinolやレチノイン酸(RA)の影響について調べたところ、何れの刺激も両因子の会合を有意に促進することが明らかとなった。さらに、UV照射後の両因子の会合がATMキナーゼ阻害剤のKU60019により抑制されたのに対して、その他の刺激後の会合は抑制されないことが判明し、DNA非傷害型の刺激はDNA傷害型とは異なる経路でE3複合体の形成を促進することが示唆された。
2. 同定したEloAの標的遺伝子の検証 抗EloA抗体を用いたChIP-sequenceの結果、RA刺激後にEloAがsmall nuclear RNA、small nucleolar RNAのいくつかをコードする遺伝子上に集積することが判明したため、野生型とEloA-/- 型の胚様体を用いてRA刺激前後のこれら遺伝子由来のtotal RNA、cleaved RNAならびにuncleaved RNA量をreal-time PCR法により測定したが、両胚様体間で有意な差を認めず、これら遺伝子上においてはEloAは伸長や3’-processing以外の制御に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
抗EloA抗体を用いたChIP-sequence解析の結果、レチノイン酸刺激後に有意なEloAの集積を認めたhomeobox遺伝子群、snRNA遺伝子、snoRNA遺伝子等の遺伝子上に、pol IIも同時に集積するかを確認するために、抗pol II抗体(Santa Cruz N20, rabbit polyclonal antibody)を用いたChIP-sequence解析を実施したが、noiseが非常に高く解析不能であった。また、N20抗体が発売中止となり入手できなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
次回の抗pol II抗体によるChIP-sequence解析を、N20抗体に代えて最近ChIP-sequenceに有用なことが学会等で報告されているCell Signaling Technology(CST)社の抗pol II抗体(D8L4Y, rabbit monoclonal antibody)を用いて実施することにした。
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