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2015 年度 実施状況報告書

ヒストンバリアントH2AXを介した染色体安定性維持機構

研究課題

研究課題/領域番号 15K08280
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

島田 緑  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60444981)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード染色体分配 / エピジェネティクス / H2AX
研究実績の概要

ヒストンH2AバリアントであるH2AXは染色体安定性維持に必須であり、H2AXノックアウトマウスは放射線感受性、増殖遅延、不妊、染色体異常を引き起こす。H2AXはDNA二重鎖切断が生じるとATMによってS139がリン酸化され、DNA損傷応答に関わる因子を損傷部位に効率よくリクルートすることに寄与しているが、それ以外の役割については不明である。本研究の目的は、ヒストンバリアントH2AXの染色体分配、DNA損傷応答、遺伝子発現における機能解析を通して染色体安定性維持機構を明らかにし、がん発症および生殖細胞の分裂異常に伴う疾患の解明と治療法に役立てることである。
申請者は、コンディショナルにH2AXを発現抑制できるHeLaおよびヒト網膜色素上皮細胞RPEを作製し、①H2AXがこれまで関連性が示されていたγH2AXとは無関係に細胞増殖に必須である、②H2AX発現抑制細胞では異常な染色体分配が起き、分裂期を経て細胞は死ぬことを見出した。H2AXのC末には、様々な修飾を受ける部位が存在する。分裂期にリン酸化が上昇するタンパク質のデータベースを用いて検索したところ、H2AX-S121のリン酸化が分裂期で増加することが分かった。そこでH2AX-S121リン酸化抗体を作製し局在を調べたところ、分裂期前期から中期にかけてセントロメアに強く局在し、後期に消失することが分かった。またin vivo, in vitroにおいてAurora BがS121をリン酸化することが分かった。さらに詳細な解析を行った結果、H2AX-pS121は染色体分配においてAuroraBの活性化に重要な役割を持つことが示唆された。これらの結果から、AuroraBの新たなターゲットであるH2AX-pS121は分裂期において重要なエピジェネティック修飾であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H2AXノックアウトマウスは増殖が遅く,染色体不安定性を引き起こし、高発癌性を示す。しかしながらこれまでDNA損傷応答に着目した機能しか報告がなく、我々の研究によりH2AXが染色体分配においても重要な役割をもつことが示された。

今後の研究の推進方策

新規リン酸化pS121による染色体分配制御、特にAurora Bの局在および活性化、染色体分配に重要なHaspinとの関連性について明らかにしていきたい。また作製したリン酸化抗体を用いて、分裂期およびDNA損傷後において、H2AX-pS121のダイナミックな時空間動態について観察する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] Institut Curie, Centre de Recherche(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Institut Curie, Centre de Recherche
  • [雑誌論文] Loss of maintenance DNA methylation results in abnormal DNA origin firing during DNA replication2016

    • 著者名/発表者名
      Haruta M, Shimada M, Nishiyama A, Johmura Y, Le Tallec B, Debatisse M, Nakanishi M
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 469 ページ: 960-966

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2015.12.090

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Essential Role of Auto-activation Circuitry on Aurora B-mediated H2AX-pS121 in Mitosis2016

    • 著者名/発表者名
      島田 緑
    • 学会等名
      Kick-Off Symposium in Nagoya City University 2016
    • 発表場所
      名古屋市立大学(愛知県)
    • 年月日
      2016-02-29 – 2016-03-01
    • 国際学会
  • [学会発表] ヒストンバリアントH2AXの染色体安定性維持における役割2016

    • 著者名/発表者名
      島田 緑
    • 学会等名
      生活習慣病とがんの代謝栄養メカニズム研究会
    • 発表場所
      アステラス製薬株式会社(東京都)
    • 年月日
      2016-02-27
  • [学会発表] Essential Role of Auto-activation Circuitry on Aurora B-mediated H2AX-pS121 in Mitosis2015

    • 著者名/発表者名
      島田 緑
    • 学会等名
      International symposium on chromatin structure, dynamics and function
    • 発表場所
      淡路夢舞台国際会議場(兵庫県)
    • 年月日
      2015-08-23 – 2015-08-26
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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