本研究は研究代表者が示したアンジオテンシン1-7 (Ang1-7)が持つ肥満における代謝改善作用に褐色脂肪細胞が関与することを示しその機序を解明することにより、将来的な褐色脂肪細胞を標的とした抗肥満治療の開発に繋げることを目的とした。 高脂肪食による肥満マウス群を用いAng1-7投与により体重・白色脂肪細胞減少、糖代謝改善、褐色脂肪細胞増加を認めた。最終年度は、寒冷刺激下において褐色脂肪細胞の活性化を評価した。23℃の寒冷刺激によりAng1-7投与群では直腸温が優位に上昇し、Ang1-7投与により褐色脂肪細胞活性化による熱産生が増加していた。 またAng1-7投与による褐色脂肪細胞の分化・増殖には、インスリンシグナル経路の改善(PI3K/Akt/mTOR)とAMPK経路の2つが関わっていることを証明した。 これらの結果はAng1-7は褐色脂肪細胞を分化・増殖し、非ふるえ熱産生によるエネルギー消費を増加させることで抗肥満効果を発揮することを示している。
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