研究課題
申請者の予備的知見として、MGLが高脂肪食負荷による肥満モデルにおいて肥満の進行が抑制されることからエネルギー代謝に関わることが予想されていたが、その詳細なメカニズムは不明であった。これを踏まえた本研究課題の目的は、遺伝子欠損マウスを用いて多面的な解析を行うことでMGLエネルギーホメオスタシスにおける役割を解明することである。すなわち、(1)脂肪吸収がMGLによりどのように調節されるか、(2)MGLが脂肪代謝およびエネルギー消費に関与するかどうか、およびそのメカニズム、(3)MGLにより摂食行動がどのように調節されるか、(4)MGLが脂質性因子の産生を通じて機能する場合にはその脂質因子および産生調節様式、を実施期間中に明らかにすることが目標である。今回、2重水標識法によるマウス個体のエネルギー消費測定において必要となるH2[18O]およびD2O含有量のGCMS測定のための水誘導体化において、トリメチルシリルジアゾメタンを用いた場合にH2[18O]の濃度依存的にD2O測定誤差が生じることを発見し、これを計算により修正する方法を考案した。これにより従来法のジアゾメタンの代わりに安全なトリメチルシリルジアゾメタンを用いることが可能となり、多検体の処理が可能となった。また、リン脂質類のLCMS一斉解析、および脂質代謝物の探索解析を効率よく行うために、データ処理のためのプログラムを新たに開発した。現在これらの成果を論文投稿準備中である。
3: やや遅れている
脂質因子探索を行うために解析系の改良が必要であることが確認されたためH28年度はその点に注力した。結果としてマウスを用いた解析が遅れている。
MGL欠損マウスを用いた脂質吸収に関わる因子探索解析に注力する。組織/細胞特異的MGL欠損マウスについては実施する可能性について当初の計画で言及していたが、現在の進捗からは期間内に適切な標的臓器/細胞の特定が困難と判断し、計画から除外することとした。
マウスを用いた実験計画の遂行に少し遅れが生じているため。
次年度使用額は当初H28年度を予定していたマウス代謝物探索解析の試薬・器具等の購入に充当し、他の実施計画と共に遂行する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件)
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular and Cell Biology of Lipids
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.bbalip.2017.03.008
FASEB J.
巻: 30 ページ: 4149-4158
10.1096/fj.201600569R