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2017 年度 実績報告書

がん細胞のストレス応答と難治がん治療戦略の基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K08300
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

北嶋 繁孝  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30186241)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードストレス応答遺伝子 / ATF3 / p53 / Wnt / システムズ解析 / 難治がん
研究実績の概要

がん細胞のストレス応答による遺伝制御が、発がん・がん抑制と関わることで難治がんの治療に深く関係する。転写因子ATF3は、増殖因子や抗がん剤などに応答するストレス応答遺伝子であるが、我々は、これまでATF3が、JNK経路、小胞体ストレスATF4/CHOP経路やp53、c-Mycの標的遺伝子であることを報告しているが、不明な点が多く残されている。本研究課題では、p53/ATF3のヘテロ・ダブルノックアウトマウスを用いた自然発がんの発症率およびDNA障害応答の遺伝子制御のシステムズ解析、ヒト大腸がんHCT116細胞におけるWnt-ATF3経路の同定と生物機能解析、を目的とした。その結果、①ATF3とp53のダブルノックアウトマウスでは、p53単独ノックアウトよりも、自然発がんの発症増加と生存率の低下が見られたことから、ATF3がp53標的遺伝子であると同時にp53非依存性のがん抑制作用があることが示された。細胞レベルでの遺伝子制御のシステムズ解析もp53非依存性の経路を示唆した(論文執筆中)。②ヒト大腸がんHCT116細胞は、ヘテロのβ-catenin遺伝子異常(wt/mut)を有するが、それぞれの遺伝子欠損細胞(wt/null, mut/null)が報告されている。本研究では、HCT116細胞においてATF3がβ-cqtenin/TCF4直接結合型の標的遺伝子であることを明らかにした。これは、すでに報告されている前立腺と同様であった。マウスのXenograftおよび細胞遊走、浸潤実験から、ATF3はこれらを抑制していた。この結果は、ATF3が発がん経路Wntの標的遺伝子であるものの、がん抑制に働くことを意味している。①、②の成果は、ATF3ががん抑制遺伝子であることを明らかにしたものであり、難治がん治療の戦略に応用する基盤研究を提示したものである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The stress response gene ATF3 is a direct target of the Wnt/β-catenin pathway and inhibits the invasion and migration of HCT116 human colorectal cancer cells.2018

    • 著者名/発表者名
      Inoue M, Uchida Y, Edagawa M, Hirata M, Mitamura J, Miyamoto D, Taketani K, Sekine S, Kawauchi J, Kitajima S.
    • 雑誌名

      PLOSONE

      巻: 10 ページ: 18

    • DOI

      doi: 10.1371/journal.pone.0194160

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ATF3 hyper-induced during Japanese encephalitis virus infection negatively regulates the antiviral signalling in neuronal cells in the absence of type1 interferons.2017

    • 著者名/発表者名
      Vikas S, Dhurjhoti S, Parashar D, Manish S, Utsav S, Kitajima S, Manjula K, Chowdhury S, Sudhanshu V.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: 8789

    • DOI

      doi: 10.1038/s41598-017-08584-9.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [備考] 東京医科歯科大学難治疾患研究所遺伝生化学

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/mri/bgen/message.html

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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