研究課題
細胞膜上に発現するグリコシルホスファチジルイノシトールアンカー(GPIアンカー)型タンパク質は大部分がアルキルアシル型であり、GPIアンカーの生合成過程でその脂質部分がジアシル型からアルキルアシル型に変換される。本研究では、その脂質変換に用いられるアルキル供与体を明らかにすると共に、GPIアンカー型タンパク質がアルキルアシル型である生理的意義を解明することを目的とした。これまでの研究では、ヒト慢性白血病由来細胞株であるK562細胞を用いて小胞体のアルキル脂質生合成系を破壊、GPIアンカー型タンパク質の脂質構造に対する影響を検討してきた。しかしながら、細胞が小さく精密質量分析を行うだけの十分量のタンパク質を得ることができなかった。そこで各種データから細胞サイズを比較検討し、細胞の表面積が大きく、かつ本実験系に用いることのできる細胞として、ヒト子宮頸がん由来細胞株であるHeLa細胞を選択した。その後、本細胞表面にタグ付のGPIアンカー型タンパク質を恒常的に発現する細胞株を構築、この細胞株からさらにアルキル脂質生合成系を破壊した細胞株の構築に取り掛かった。本研究において、細胞膜の表面積が大きくかつGPIアンカー型タンパク質の発現効率が良い細胞株はHeLa細胞であることが分かった。さらに本細胞株では、ノックアウト細胞の作成効率も良いことが分かった。
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J Cell Biol.
巻: 215(5) ページ: 705-718
10.1083/jcb.201605121