本研究は、SASP経路におけるPITX1の役割を検討し、細胞老化現象および発がん機構への関連を明らかにすることを目的に研究を実施した。その結果、PITX1が、SASP経路の主要なマーカー因子として知られているIL-6およびIL-8、両方の正の発現制御に直接関与していることを見出した。さらにそれは、SASP経路においてp16といった細胞老化誘導因子の発現上昇も伴うものであった。一方で、Pitx1をコンディショナルにKOできるアレルをもつマウスを世界で初めて作成した。以上の結果から、PITX1がSASP経路内で一連の分子シグナルにおける新たな制御因子として機能している可能性が示唆された。
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