研究課題/領域番号 |
15K08306
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
田蒔 基行 徳島大学, 糖尿病臨床・研究開発センター, 特任助教 (60624400)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 膵β細胞 / 糖尿病 / インスリン |
研究実績の概要 |
昨年度においてわれわれはPP細胞特異的な抗体を作成した。 これまでにヒト膵臓におけるPP細胞数は報告により異なる。この原因として、PPタンパクは他のPPファミリーと呼ばれるNPY(Neuro Polypeptide Y), PYY(Peptide-YY)と高い相同性を示すため、抗体が交叉性を示すことが 挙げられる(Guo L. Diabetes. 62: 3459, 2013)。前回の報告においてわれわれが用いている抗PP抗体はPYYやNPYなど他のPPファミリータンパクと交差ないと報告したが、PYYとわれわれの使用している抗体においてPP抗体の特異性に問題があることがわかった。そのため、われわれは特異的モノクローナル抗体を作成した。また、徳島大学病院の消化器移植外科の協力の元、病変によって切除された膵標本を用いてこれに対してPP細胞数の変化を評価した。 また、以前より作成を行っていたPP-Creノックインマウスの作成が完了したため、本マウスをRosa26-stop-YFPマウスと交配することにより、PPプロモーター活性を有する細胞が膵β細胞に分化転換するか否かを今後の課題として評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度われわれはJournal of Biological Chemistryに本研究成果を提出した。先方からのリバイスなどを実施したが、査読の過程で拒否された。 拒否の理由は抗PP抗体の特異性が焦点となった。この理由として、PPタンパクは他のPPファミリーと呼ばれるNPY(Neuro Polypeptide Y), PYY(Peptide-YY)と高い相同性を示すため、抗体が交叉性を示すことが指摘された(Guo L. Diabetes. 62: 3459, 2013)。昨年度においてわれわれはPP細胞特異的な抗体を作成した。そこでわれわれはモノクローナル抗PP抗体を作成した。 前回の報告においてわれわれが用いている抗PP抗体はPYYやNPYなど他のPPファミリータンパクと交差ないと報告したが、新規モノクローナル抗体を用いると、PYYとわれわれの使用している抗体において膵組織の免疫染色にてPP抗体の特異性に問題があることがわかった。本抗体を作成したため、ヒト組織標本の免疫組織染色を実施した。これまでPP特異的な抗体がなかったために、ヒト膵ランゲルハンス島における正しいPP細胞の比率は知られていなかったためである。徳島大学病院の消化器移植外科の協力の元、病変によって切除された膵標本を用いてこれに対してPP細胞数の変化を評価した。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究先の順天堂大学において、以前からPP-Creノックインマウスを作成し、解析を進めている。昨年度、PP-Creノックインマウスが誕生した。これとRosa26-stop-YFPマウスと掛け合わせることで、本マウスにおいてPP細胞がどのような細胞運命をたどるのかは昨年度から検討を開始したため、その結果がまとまり次第論文報告などを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はヒト膵標本を用いたり、すでに作成済のノックアウトマウスの解析などが中心であり、またモノクローナル抗体についても他大学と共同で作成したためにコストがかかっていない。そのために余剰金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
細胞培養用の顕微鏡と遠心機が昨年度末に使用できなくなったために、本年度の未使用予算を使用してこれらの購入を行う。
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