研究課題/領域番号 |
15K08314
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
松原 三佐子 (佐藤三佐子) 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (00635120)
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研究分担者 |
松原 勤 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20628698)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肝臓 / 繊維化 / FGF2 / 肝星細胞 |
研究実績の概要 |
本研究室で使用されるヒト肝星細胞の初代培養より樹立されたHHSteCを用いて実験を行ったところ、Fibroblast Growth Factor2 (FGF2)がヒト肝星細胞の非活性化を誘導する候補因子と挙げられた。FGF2は、時間依存的かつ濃度依存的にαSMA発現量を減少させた。FGF2の下流のシグナルを明らかにするため、数種類のMAPK阻害剤の中からERK阻害剤がFGF2によるαSMAの減少を濃度依存的に回復させることが分かった。これらの結果によりFGF2がERKシグナルを介し、αSMAの発現を減弱させることが明らかとなった。また、ヒト初代星細胞にFGF2を添加したところ、HHSteC同様、αSMA減少がタンパク質およびmRNAレベルで確認された。さらにFGF2処理により活性化に関係するCollagen1a1,1a2およびSPARCの発現減少、HSCの休止期を誘導するとされるPPARγの発現亢進が定量的PCRで確証された。 蛍光シグナルを標的としたIn vitro評価系の構築のため、Col1A2遺伝子プロモーター2.4kb断片の下流に蛍光遺伝子を繋げたDNA(Col1A2 Promoter-mCherry)を持つレンチウイルスを作製した。レンチウイルスを導入したLX2細胞は高発現細胞株を樹立後、蛍光顕微鏡下で赤色のシグナル(mCherry陽性細胞)が観察された。Col1A2 promoter-mCherry-LX2細胞の蛍光強度を観察した結果、細胞数に比例して蛍光シグナル強度の上昇が見られた。 Col1A2発現を誘導する物質をポジティブコントロールとし、蛍光シグナルの減少を確認した。その他、スクリーニングを開始する前に、細胞播種密度、DMSOの濃度および培地、細胞播種から測定までの時間の条件検討を行った。大阪大学創薬推進研究拠点の2,000化合物を用いて、GloMax Multi Detection System (Promega)で蛍光シグナルを測定した。その後、CellTiter-glo (Promega)を使って細胞毒性試験を同細胞で行った。その結果、1,920化合物中、10化合物がHit化合物として選出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究室は肝臓疾病に関する研究が精力的に行われており、研究環境が整っているため、申請者の研究も順調に進展している。また、大阪大学創薬推進研究拠点、産学連携本部との契約により化合物ライブラリーとスクリーニングに要する最新装置が利用可能になり、今回の研究成果に繋がっている。
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今後の研究の推進方策 |
繊維化疾病モデルマウスを用いてFGF2投与による繊維化の程度を調べる。さらに、FGF2シグナルとその関連因子の重要性を生体レベルで立証する。 候補化合物の絞り込み実験を行うために、類似化合物の探索および星細胞の活性化関連遺伝子の発現レベルをリアルタイムPCR法で測定し、候補化合物の有用性および薬理作用の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定額の約3分の1の50万円分を次年度の化合物スクリーニングおよび動物実験の経費とする。
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次年度使用額の使用計画 |
化合物スクリーニングの経費として20万円、動物実験費として30万円
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