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2016 年度 実施状況報告書

新規肝硬変治療薬の開発を目指した星細胞脱活性化の分子機序解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K08314
研究機関大阪市立大学

研究代表者

松原 三佐子  大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (00635120)

研究分担者 松原 勤  大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20628698)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード肝臓 / 線維化 / FGF2 / 肝星細胞 / Cytoglobin
研究実績の概要

昨年、Fibroblast Growth Factor2 (FGF2)がヒト肝星細胞(hHSC)の非活性化を誘導する候補因子であることを示した。本年度、上記のhHSC培養細胞を用いた実験により、FGF2がhHSCのサイトグロビン(CYGB)の発現を促進することが分かった。CYGBは肝臓ではHSCでのみ発現し、生理作用として抗酸化的機能を持ち、HSCの非活性化維持に重要であることが予測される。しながら、CYGB 遺伝子の発現制御に関する報告は乏しい。FGF2は、FGF 受容体のリン酸化を誘導し、CYGB 発現量を時間依存的かつ濃度依存的に増加させる、一方 αSMA 発現量を時間依存的かつ濃度依存的に減少させた。FGF2 はFGFR2-JNK-c-JUNシグナルを介しCYGBの発現促進を担っていることが分かった。さらに、マウス胆管結紮による線維化症モデルを用いた結果、FGF2投与群ではコントロール群に比べ αSMA と Collagen1A1 発現の有意な減少に伴い組織障害が緩和し、線維化の軽減が見られた。
蛍光シグナルを標的としたIn vitro評価系で2,000化合物を用いて、1,920化合物中、10化合物が抗線維化のHit化合物として選出された。そこから、ヒトHSC細胞を用いて、RT-PCRでこれら10化合物添加後HSC活性化に関わるαSMAと非活性化に関わるCYGBの遺伝子発現変動を調べた。結果、10化合物中、2化合物にαSMAの発現の減少とCYGB発現の増加が見られた。その化合物と類似する骨格を持つ8化合物を入手した。その結果、それらほぼすべての化合物で、αSMA遺伝子減少、CYGB遺伝子増加が見られた。現在類似骨格を有する化合物の数を増やし、HSC活性に関わるαSMA、CYGB, Collagen, PPARγなどの遺伝子発現変動の化合物の最小濃度を調査している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年に引き続き本研究室では肝臓疾患に関する研究が精力的に行われており、研究環境が整っているため、申請者の研究も順調に進展している。化合物ライブラリーからのスクリーニングも順調に進み、そこから数個のHit化合物を選出するに至った。

今後の研究の推進方策

本年度、胆管けっさつにより線維化を誘導し、FGF2投与により肝傷害の軽減が認められた。今後は、Drug-inducibleであるTAAモデルと高脂肪高コレステロール食(HFCD)を与えたNASHのモデルの二つの肝線維症モデルを用いてFGF2の薬効の確立を目指す。さらに、候補化合物の薬効効果を調べ、候補化合物の有用性および薬理作用の検証を行う。

次年度使用額が生じた理由

本年度予定額の約3分の1の84万円分を次年度の動物実験(2つの線維化モデルマウスを作製する予定)の経費とする。

次年度使用額の使用計画

動物実験費として84万円

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] ew player in tumor-stromal interaction: Granulin as a novel therapeutic target for pancreatic ductal adenocarcinoma liver metastasis.2017

    • 著者名/発表者名
      2.Sato-Matsubara M, Kawada N.
    • 雑誌名

      Hepatology

      巻: 65 ページ: 374

    • DOI

      10.1002/hep.28849

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 肝線維化進展の分子機構2016

    • 著者名/発表者名
      松原 三佐子、 河田則文
    • 雑誌名

      肝胆膵

      巻: 73巻6号 ページ: 873

  • [学会発表] ヒト肝星細胞におけるFGF2のCytoglobin遺伝子発現制御2016

    • 著者名/発表者名
      松原三佐子、大黒敦子、松原勤、池田一雄、河田則文
    • 学会等名
      第30回間類洞壁細胞研究会学術集会
    • 発表場所
      富山国際会議場 (富山県富山市)
    • 年月日
      2016-11-25 – 2016-11-26
  • [学会発表] 肝臓細胞の皮質への接着反応の解析2016

    • 著者名/発表者名
      吉里勝利、松原三佐子
    • 学会等名
      第23回肝細胞研究会
    • 発表場所
      大阪大学中之島センター (大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-07-07 – 2016-07-08
  • [学会発表] FGF2はCytoglobinとSMA遺伝子発現を制御し肝星細胞の脱活性化を促進する2016

    • 著者名/発表者名
      松原三佐子、大黒敦子、松原勤、池田一雄、河田則文
    • 学会等名
      第23回肝細胞研究会
    • 発表場所
      大阪大学中之島センター (大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-07-07 – 2016-07-08
  • [学会発表] 肝星細胞におけるTGF-β1のCYGB発現抑制機構の解析2016

    • 著者名/発表者名
      翁良徳、松原三佐子、松原勤、大黒敦子、池田一雄、吉里勝利、河田則文
    • 学会等名
      第23回肝細胞研究会
    • 発表場所
      大阪大学中之島センター (大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-07-07 – 2016-07-08
  • [学会発表] 肝星細胞の脱活性化を誘導するサイトグロビン発現促進機構の解明2016

    • 著者名/発表者名
      松原三佐子、大黒敦子、松原勤、池田一雄、河田則文
    • 学会等名
      第52回日本肝臓学会総会
    • 発表場所
      ホテルニューオータニ幕張 (千葉県千葉市)
    • 年月日
      2016-05-19 – 2016-05-20

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公開日: 2018-01-16  

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