本課題では、がん転移に重要な役割を担うMMP9の発現制御に関して、細胞内レドックス状態の関与を調べ、ミトコンドリア由来活性酸素種 (mtROS) によりMMP9のmRNAが安定化されること、そしてその制御として、細胞接着斑-核両局在性アダプター分子HIC-5によるNADPH oxidase 4 (NOX4)-mtROS制御を見出した。本制御機構は変異型Rasを有するがん細胞株で観察され、本機構を破綻させたがん細胞をマウスに接種すると転移は促進された。本機構は癌転移を抑制的に制御することから、悪性度の指標となる可能性が考えられる。
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