研究実績の概要 |
1. 生理および病理形態的ならびに分子病理学的研究:熊本大学・医学部・病理学講座・伊藤と協力して実施した。メカプトピルビン酸硫黄硫黄転移酵素(MST)が内分泌分泌組織(細胞)に局在することを新たに発見した。以前に発表(Nagahara et al., Histochem Cell Biol 1998, 110)した免疫組織化学は凍結切片を用いたが、今回はホルマリン固定の組織に対して検索を行った。若干結果は異なるが、特に下垂体の中葉、副甲状腺、副腎の皮質においては束状層、膵臓のランゲルハンス島などに分布することが明らかになった。学会発表(日本生化学会)並びに論文発表(Tomita et al., Molecule, 2016, pii: E1707)を行った。 2. 行動学的および分子薬理学的研究:本学の薬理学分野・永野ならびに三ヶ原と協力して実施した。同腹仔の野生型を用いた行動実験を行ったが、再現性が良くなかったため、今後も再試を行う予定である。 3. 医化学的および物理化学的研究:永原が実施した。「MSTの中間体からポリスルフィドを産生する」ことを発見し、再現性を調べている。 4. 国外(ギリシャ)との共同研究でMSTノックアウトマウスに虚血性心疾患である梗塞病変が少ないことが分かった。すなわちMSTを欠落している方が、虚血性心疾患が起こりにくいことが分かった。この事実は国際学会(4th International Conference on the Biology of Hydrogen Sulfide, Naples - June 3-5, 2016)で発表し、論文を作成しているところである。 5.その他、国立精神神経医療センター研究所、明治薬科大学、島根医大、アテネ大学(ギリシャ)、マックスプランク研究所(ドイツ)、LSH健康科学センター(アメリカ)にノックアウトマウスを供与して共同研究を進めている。
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