研究課題
我々の研究グループは、これまで、分裂間期(特に、G1期)においてトリコプレインがAurora-Aと結合し活性化していること、この間期のAurora-Aの活性化によって分裂サイクルに入った細胞が一次線毛を形成しないことを報告してきた。この活性化過程が阻害されると、増殖培養条件にもかかわらず、一次線毛(シリア)を形成し、細胞周期がG1期で停止することも明らかにしてきた。本年度、ダイニン結合タンパク質の一つであるNdel1がAurora-A・トリコプレイン経路の上流に位置することを明らかにした。このNdel1は、トリコプレインのE3リガーゼであるKCTD17-CRL3 (Cul3-RING E3 ligase) 複合体からトリコプレインをユビキチン化されないように保護していることが判明した。
2: おおむね順調に進展している
我々が見出したAurora-A・トリコプレイン経路を介した一次線毛(シリア)抑制経路は、細胞が増殖していくうえで必須の経路で、この経路が阻害されると一次線毛依存性の細胞周期停止を導く。しかし、この「一次線毛チェックポイント」についての分子機構はほとんど解明されていない。その中で、今年度、Aurora-A・トリコプレイン経路の上流にNdel1が位置し機能していることを明らかにした。
「一次線毛チェックポイント」の全貌を解明していくためには、さらなる解析が必要である。そのため、Aurora-A・トリコプレイン経路に関与する分子群、特に、下流のAurora-A基質の解析を行っていく予定である。また、他のグループから、同じ分裂期キナーゼのグループに属するPlk1も増殖中の一次線毛抑制に絡んでいるとの報告がある。そのため、今後、Plk1の経路とAurora-A・トリコプレイン経路の関わりも明らかにしていきたい。
Aurora-Aの部分の研究に予想以上の時間が取られてしまい、Plk1の解析用にとっておいた資金を使わず、残す結果となった。
Aurora-Aプジェックトも少しずつではあるが、目処が立ったため、今後は、Plk1の解析も行っていく予定である。
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