研究課題/領域番号 |
15K08326
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
滝川 修 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, ラジオアイソトープ管理室, 客員研究員 (70163342)
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研究分担者 |
奥野 海良人 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, ラジオアイソトープ管理室, 外来研究員 (50623980) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳リキッドバイオプシー / エクソソーム / オミックス解析 / アルツハイマー病 / 軽度認知症障害 |
研究実績の概要 |
(1)ヒト神経細胞由来のエクソソームのオミックス解析に向けた準備---平成27年度はUCSFのGoetzl教授らが開発した抗L1CAM抗体を使用した神経細胞由来エクソソームの単離法について再現性を確認した。平成28年度はAβ42とリン酸化タウ蛋白(pTau181)の含量を基準に3層オミックス解析(プロテオミクス、メタボロミクス、トランスクリプトーム解析)に必要なエクソソーム量を決定し、臨床サンプルの使用した解析に向けた準備を整えた。 (2)ヒトアストロサイト由来のエクソソーム単離技術の開発(平成27年度からの継続)---当初の文献調査から見出したアストロサイト特異的な表面マーカー(マーカーX)に対する抗体を使用したアストロサイト由来の血漿エクソソーム単離法の確立を目指し、半年間条件検討したが満足の得る結果が得られなかった。一方で、上述のGoetzl教授らはアストロサイトに高発現するグルタミントランスポーターに対する抗体で当該エクソソームの単離に成功した(FASEB J.2016)。そこで、我々は自力での単離法の開発を継続するとともに、Goetzlらの方法を追試した。その結果、アストロサイト特異的な酵素(グルタミン合成酵素)の比活性の増加から判断して、Goetzlらの方法は問題のないことを確認した。 (3)臨床検体の収集について---国立長寿医療研究センターのバイオバンクに収集された健常人、軽度認知障害、アルツハイマー病の検体を、本研究の目的のために使用することを申請した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神経細胞由来のエクソソームの単離法は確立し、3層のオミックス解析に向けた準備は整ったが、当初計画した細部表面マーカー(マーカーX)を利用したアストロサイト由来エクソソームの単離法が未確立であるため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)神経細胞由来エクソソームの解析 ・3層オミックス解析を国立長寿医療研究センターのバイオバンクに収集された健常人、軽度認知障害、アルツハイマー病の検体を使用して実施する。 (2)アストロサイト由来エクソソームの解析 ・既報のグルタミントランスポーターに対する抗体で単離したアストロサイト由来エクソソームの3層オミックス解析を実施する。 ・Goetzlらの方法とは異なる方法をオリジナルに開発し、知財権(特許)を獲得するために、引き続きマーカーXを使用した単離法の開発を継続する。マーカーXに対する市販の抗体で検討するとともに、VLP Pharmatheuical(表面マーカー蛋白の立体構造を認識する高親和性抗体の作製を開発)やペプチドリーム社(同マーカーを認識する環状ペプチド誘導体の作製法を開発)との共同研究を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた国際会議への参加を中止したためと、研究助手への謝金が減ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
マーカーXを利用したアストロサイト由来エクソソームの単離法の開発(物品費及び人件費)、既報の方法に従いヒト血液検体から単離する神経細胞由来エクソソーム及びアストロサイト由来エクソソームの3層オミックス解析(物品費及び人件費)に使用する。また、エクソソームに関する国際会議(ISEV2017 トロント)に参加し、脳由来エクソソームに関する最新の情報収集に使用する。
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