研究課題
基盤研究(C)
均衡型相互転座の保因者は、男性の場合多くは無精子症あるいは乏精子症による不妊となる。一方、女性の場合は不妊ではなく習慣流産となる。このような性差が生じるメカニズムは十分に理解されていない。本研究では転座モデルマウスを用いて減数分裂過程について転座の影響やその性差を解析した。オスでは精母細胞で転座染色体が部分的な非対合部位を持つ性染色体と共局在し、エピジェネティック修飾の変化によりその異常な遺伝子発現を引き起こすために細胞死し、不妊になることが示唆された。
分子生物学
均衡型相互転座の保因者は650人に1人という比較的高頻度で見られる。本研究では遺伝的バックグラウンドの異なる2種類の転座モデルマウスを解析することにより、それぞれの減数分裂時のクロマチン動態やエピジェネティック修飾を明らかにすると共に、妊孕性との関係を理解する手がかりを得た。このことは生殖問題に直面する転座保因者のより正確なリスク算定を将来行うのに役立つと期待される。