複数の胎児形質マーカー遺伝子発現を基に、386例の胃癌臨床検体を対象にクラスター解析を行った。胃癌の約20%が胎児形質マーカー高発現群であり、この群にはAFP産生胃癌が含まれ、分化型優位、高頻度の脈管侵襲、高いリンパ節転移率、患者予後不良を示す高悪性度胃癌であった。遺伝子異常ではTP53異常が高頻度だが、マイクロサテライト不安定性やEBウイルス感染との関連は乏しく、TCGA分類では染色体不安定型に分類された。早期癌の解析でも悪性度が高い傾向があり、内視鏡的治療などの縮小治療の適応は慎重にすべき群である。悪性度の高いびまん型胃癌においてはRHOA変異陽性例の臨床病理学的特徴を明らかにした。
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