研究実績の概要 |
難治性腫瘍である膵胆管系腫瘍に関して、本研究では、膵胆管系腫瘍の予後因子であるムチン抗原発現の検討を基盤とし、膵液や胆汁などの術前生検材料等の解析と切除検体を対比した。また術前治療等の相関関係の有無も検討を行った。本年度は 特に膵癌症例に焦点を絞り、今まで集積し蓄積した症例も含め約180症例での切除膵組織について独自に開発したMSE法を用いてMUC1, MUC4のプロモーター領域のメチル化の部位と程度を評価し、さらにDNAメチル化、脱メチル化に関わる酵素である、TET, AIDと低酸素のバイオマーカーとされるCAIXの発現解析とともに臨床病理学的事項との比較検討を行った。この結果腫瘍でのMUC1, MUC4の発現上昇はMUC1, MUC4のプロモーター領域の脱メチル化とTET, AIDの低下、CAIXの発現上昇に強く相関していることを明らかにした。現在、これら内容について学会発表、論文投稿の準備中である。 今年度これまでの研究に関連して、Higashi M,et al. Mucin expression in endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration specimens is a useful prognostic factor in pancreatic ductal adenocarcinoma. Pancreas. 2015 Jul;44(5):728-34.を発表した。
|