研究課題
本研究では、難治性腫瘍である膵胆管系腫瘍に関して、ムチン抗原発現の検討からアプローチを行っている。ムチン抗原発現は膵胆管 系腫瘍の予後因子であり、MUC1, MUC4の過剰発現が予後不良因子であることは他臓器でも知られている。現在は、切除検体のみでなく、膵液や胆汁等の術前生検材料との解析と切除検体との比較検討、あるいは術前治療等との相関関係の有無についても、我々が独自に開発したMSE法を用いて検討を行っている。その他の臨床病理学的事項等の情報収集も合わせて行っており、早期発見や予後予測と最も関連のある因子の抽出を目指している。昨年度は膵浸潤腺癌症例に焦点を絞り、現在までに蓄積した約180例を用いて検討を行い、腫瘍でのMUC1, MUC4発現上昇がMUC1, MUC4のプロモーター領域での脱メチル化と強く相関していることを明らかにした。また、TET, AIDの低下、CAIXの発現上昇に強く相関していることを明らかにした。本年度は、近年患者数が増加している肺癌に関して同様の現象が起こっていることを明らかにした。すなわち、肺癌患者においてMUC4発現とMUC4のプロモーター領域での脱メチル化が相関していることが明らかになった。またTET1がMUC4プロモーター領域での脱メチル化の発現調整を行っていることを明らかにし論文として発表した(Yokoyama S. et al. TET1-mediated DNA hypomethylation regulates the expression of MUC4 in lung cancer. Genes and Cancer, 2017)。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
日本消化器外科学会雑誌
巻: 50 ページ: 897-904
Histol Histopathol
巻: 32 ページ: 585-596
10.14670/HH-11-824
Genes & cancer
巻: 8 ページ: 517-527
10.18632/genesandcancer.139
Digestive endoscopy
巻: 29 ページ: 608-616
10.1111/den.12827
Lab Invest
巻: 97 ページ: 1103-1113
10.1038/labinvest.2017.53