研究課題
新規3細胞間タイト結合分子LSRを癌の診断・治療へ応用するために、膵癌および子宮内膜癌の遊走および浸潤におけるLSRの役割を解明した。1. ヒト剖検材料を用いた前癌組織(PanIn、子宮内膜症)および癌組織(膵癌および子宮内膜癌)におけるLSR の発現および局在の変化を解析した。 ヒト剖検材料を用いた前癌組織(PanIn、子宮内膜症)および癌組織(膵癌および子宮内膜癌)におけるLSR の発現および局在の変化をみた。LSRは、それぞれの前癌組織から局在変化がみられ、癌の悪性度とともに発現は低下した。2. LSRを高発現している癌細胞株を用いて、LSRの癌細胞の増殖、浸潤、遊走への関与を確認し、そのメカニズムの一部を解明した。 LSR を高発現している癌細胞株(子宮内膜癌:Sawano細胞、膵癌:HPAC細胞)にLSRのsiRNAを処置してLSRの発現を低下させた結果、両癌細胞の増殖、浸潤、遊走の明らかな亢進が認められた。さらにDNAアレーを用いて、LSRの発現低下による遺伝子変化を検索した結果、癌細胞の増殖、浸潤、遊走に密接な関与が知られている増殖因子AREGおよび転写因子TEAD1の著しい亢進がみられた。3.LSR を高発現している癌細胞株を用いて、adipokines (adiponectin、leptin)によるLSR の発現調節機構を解明した。 脂質関連因子でもあるLSRのadipokinesによる発現調節を調べるために子宮内膜癌細胞にadiponectin、leptinを処置した結果、adiponectin処置でLSRの増加、leptin処置でLSRの低下がみられた。LeptinによりLSRが発現低下した癌細胞においては、増殖、浸潤、遊走の明らかな亢進が認められた。以上の子宮内膜癌を用いたLSRの役割については、英文雑誌(Oncotarget)に掲載された。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度に実施する実験においては、ほぼ終了し有意義な結果を見出すことができた。
1.ヒトのアレルギー性鼻炎および鼻茸で亢進のみられるヒストン脱アセチル化酵素に焦点を当て、その阻害剤によるtricellulinおよびLSRの発現・局在の変化を解析する。2.3細胞間タイト結合分子tricellulinおよびLSR に直接および間接的に影響を与える分子を探索する。
消耗品の使用が予定より小額であったため。
消耗品費(抗体、培養器具、蛋白およびRNA解析用試薬、形態観察用試薬、機能解析試薬など): 157万円、旅費(国内学会): 10万円、その他(材料費): 5万円
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 8件、 謝辞記載あり 11件) 学会発表 (5件)
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