研究課題
本年度は唾液腺腫瘍の中で、乳腺類似分泌癌、粘表皮癌、ワルチン腫瘍に焦点を当て、研究を行い、発表することができた。1.乳腺類似分泌癌にはETV6-NTRK3融合遺伝子が特徴的遺伝子異常と考えられていたが、我々はETV6がNTRK3遺伝子以外の遺伝子と融合遺伝子を形成すること(ETV6-X)を明らかにし、またETV6-Xを有する症例が臨床病理学的に悪性度が高い可能性があることを指摘した。2.粘表皮癌の一部に、良性腫瘍であるワルチン腫瘍に類似する症例があり、その腫瘍起源が不明であった。我々はFISHシグナルをWSI(Whole slide imaging)の技術により解析し、これらの症例がワルチン腫瘍由来の粘表皮癌ではなく、ワルチン腫瘍に類似した粘表皮癌であることを明らかにした。3.アンドロゲン受容体発現は唾液腺導管癌に特徴的とされるが、高悪性度粘表皮癌にもアンドロゲン受容体を発現する症例があり、これを報告した。
2: おおむね順調に進展している
これまで本課題に即した研究発表が行われており、また現在進めている研究も満足のいく進捗を見せている。
今後は唾液腺癌の中でも最も頻度が高く、悪性度の高い腺様嚢胞癌を中心に研究を進める。この腫瘍は特に近年、新たな融合遺伝子が次世代シークエンスなどの技術により、いくつか報告されつつあるが、これらの遺伝子異常の持つ意義は明らかではない。1.当研究グループの蒐集した多数の症例を用いて、日本人におけるこれらの遺伝子異常を検索し、頻度を明らかにする。2.遺伝子異常と腫瘍病理形態学との関連を明らかにする。3.遺伝子異常の持つ臨床的意義を明らかにする。4.遺伝子異常に関連したシグナル経路の異常について明らかにする。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 1件、 査読あり 13件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 図書 (5件)
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