研究課題/領域番号 |
15K08353
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
及川 寛太 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (00405804)
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研究分担者 |
増田 友之 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10199698)
前沢 千早 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10326647)
及川 浩樹 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50285582)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | NASH / AMPK / SOD2 / catalase / 8OHdG / FOX3a / LKB1 |
研究実績の概要 |
NASH(non-alcoholic steatohepatitis)とNAFL(non-alcoholic fatty liver)の相違は、肝細胞周囲傷害像や線維化の存在である。慢性肝疾患進展の共通経路である肝細胞周囲傷害像や線維化の契機は、脂肪肝においては2nd hitである酸化ストレスの存在が示唆されている。しかし、酸化ストレスの状況は、いまだ不明な点が多い。そこで、我々は抗酸化力のLKB1-AMPK-FOXO3a-SOD2/catalase pathwayに着目し、以下の結果を得た。1. 各30例の NASH/NAFLを診断されたヒト肝生検組織免疫組織化学的に検討すると、NAFLに比較し、酸化ストレスマーカーである8OHdGおよび4-HNEは、有意にNASHで発現が高かった。一方、抗酸化マーカーであるSOD2は、NASH/NAFL で6-8%の発現を認めるものの、両群での有意差は認められなかった。Catalaseも、NASH/NAFL で30-31%の発現を認めるものの、両群での有意差は認められなかった2. そこでSOD2/catalaseの上流であるLKB1、AMPK、FOXO3aの免疫組織化学的に検討すると、抗酸化マーカーと同様に、NASH/NAFL で5-15%の発現を認めるものの、両群での有意差は認められなかった。以上より、NASHでは高い酸化ストレスが生じているが、その酸化ストレスを消去する抗酸化力には、限界があることが確認された。3.次に、培養細胞株(HepG2, Huh-7)で、palmitate acid(PA)(16:0)400 M、ないしpalmitoleate acid (PO)(16:1)400 M添加して疑似NASH/NAFLモデルを作成し、Nile Red蛍光免疫染色で脂肪化を確認した。4.PE active caspase-3 apoptosis kitを使用し、FACS Caliburで検討すると、疑似NAFLに比較し、疑似NASHで有意にapoptosisを生じていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫組織化学的検討において、十分な染色性を得るためにLKB1とAMPKとFOX3aの抗体変更および条件設定に時間がかかったため
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今後の研究の推進方策 |
条件設定として時間がかかることが予想された免疫組織学的検討は終了している。すでに培養細胞株を主体とした実験検討の課程に移行しており、スピードアップが計れると考えている。また、無処置の雄性C57Bl/6マウスの肝組織より比重遠心法を用いて初代培養肝細胞(Mouse primary hepatocyte)のPA,POで疑似NASH/NAFLモデルを作成平行して行い、標的タンパク、標的RNAの発現検討を同時に行うことでさらにスピードアップが計れる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況がやや遅れていることと、また、使用期限があることから購入していない薬品があります。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の実験で使用予定であり、直近、購入予定です。
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