• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

炎症性腸疾患バイオマーカーシグナルの二相性と収斂から見た発症機序解明と治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 15K08356
研究機関北里大学

研究代表者

吉田 功  北里大学, 医学部, 准教授 (90316943)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード潰瘍性大腸炎 / olfactomedin 4 / クローン病 / 炎症性腸疾患 / b-catenin / EMT
研究実績の概要

平成27年度におけるUC及びCDにおける組織形態学的な炎症活動性の評価基準の確立により、UCにおけるMatts組織学的グレード評価と、CDにおける4段階のグレード分類を行った。UC及びCD患者の大腸外科的切除病理組織材料におけるOLFM4発現をリン酸化NF-kB/p65、リン酸化c-Junと比較したところ、CDではリン酸化c-Junは明瞭な炎症活動性に沿った発現を示すのに対し、リン酸化NF-kB/p65発現は認められず、NF-kB/p65リン酸化はUC特異的な現象であることが明らかになった。in vitro解析では、LPS刺激によってNF-kBのリン酸化が亢進すると共に、MPA刺激でJNK, c-Junのリン酸化が亢進し、OLFM4発現と相関することを確認した。OLFM4プロモーター解析により、Jun/Fos、p65それぞれに独立してOLFM4は発現誘導を受けることを確認した。複数種の抗OLFM4抗体を用いて蛋白発現解析を行ったところ、腫瘍特異的分子と非腫瘍部に発現する分子の分子量に差異があることが示唆されたため、糖鎖修飾の可能性が考えられた。脱糖鎖処理により、腫瘍特異的発現を示す分子の変化が確認され、腫瘍特異的OLFM4の糖鎖修飾が確認された。OLFM4の糖鎖修飾及び分泌分子としての報告を受けて解析を進めたところ、OLFM4がfrizzled7と結合し、EMT関連分子の発現抑制をきたすことが明らかとなり、大腸癌でβ-cateninの核内移行とOLFM4発現が相反することが示された。OLMF4がβ-cateninを介したEMTを抑制している可能性があり、IBD関連腫瘍が通常大腸癌に比して低分化であることとOLMF4発現が腫瘍化に伴って低下することと関連している可能性がある。OLMF4機能とβ-catenin系と腫瘍化に関して更に解析を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は研究計画におおむね沿った結果を得ることができたが、OLFM4が糖鎖修飾を受け、分泌蛋白質として機能し、腫瘍発生と形態変化に寄与する可能性が示されたため、pathway解析に先行して関連腫瘍発生における機能解析を優先させることとした。
「LPS, CpG-DNA刺激のpathway解析」:「分泌型糖タンパク質としてのOLFM4の機能解析」を進めた
「抗炎症・抗腫瘍化治療標的分子解析」;順調

今後の研究の推進方策

当初予定していた「LPS, CpG-DNA刺激のpathway解析」はCDにおけるOLFM4発現誘導機構の解明のため重要な課題であるが、「OLFM4の分泌型糖タンパク質としての機能解析」は関連報告がなされていることから喫緊の課題であり、H29年度の優先課題として並行して推進することとする。「抗炎症・抗腫瘍化標的分子解析」における新たな治療標的が生み出される可能性も期待され、「阻害系開発/腸炎・発癌抑制効果」にも応用可能と考えられる。
研究手法は研究室内で既に確立されているため、既存の設備・体制で推進可能である。

次年度使用額が生じた理由

OLFM4の分泌タンパク質としての機能解析を優先したため、マイクロアレイ検索の実施数が少なく、次年度に実施数を増やしその費用に充てるとことにした。

次年度使用額の使用計画

OLFM4の機能解析の新たな計画の実施、及び網羅的解析を次年度精力的に行うため、最終的に研究費は目標通り使用される予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 潰瘍性大腸炎におけるバイオマーカーolfactomedin 4の発現機序の解明.2016

    • 著者名/発表者名
      橋口 收、吉田 功、大熊拓也、横田 章、岡安 勲、三枝 信
    • 学会等名
      第105回日本病理学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-05-12 – 2016-05-12
  • [学会発表] 炎症性腸疾患鑑別診断におけるOLFM4及び上流分子発現検索の有用性.2016

    • 著者名/発表者名
      吉田 功、永田 匠、橋口 收、鈴木瑞人、橋村美紀、三枝 信
    • 学会等名
      第105回日本病理学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-05-12 – 2016-05-12

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi