研究課題
【背景】肺高血圧症はニース分類に従って5群に分類される。第1群の肺動脈性肺高血圧症には、特発性加え膠原病、消化器疾患などに伴う病態が含まれる。またその他の4群には左心疾患や肺疾患などに合併する病型が分類される。近年、肺高血圧症の背景疾患別の発症機序の解明や肺高血圧症治療薬の有効性の検証が望まれている。【本年度の目的】病理組織における血管病変を形態学的、免疫組織学的に解析し、臨床的背景疾患や肺高血圧症の程度との関連を比較検討する。【対象と方法】生前に肺高血圧症と診断され剖検となった9症例を対象とした。ニース分類に4症例(特発性肺動脈性肺高血圧症2例、混合結合組織病に合併した肺高血圧症1例、門脈圧亢進症に合併した肺高血圧症1例の4症例は第一群に分類され、慢性閉塞性肺疾患1例、気腫合併肺線維症2例、特発性肺線維症2例の5例は第三群に分類された。病変部のブロック5か所のHE染色及びElastica Masson染色を施行し、血管病変を血管抵抗に関連ある100~500umの細動脈の閉塞程度を10%以下、10~50%、50%以上の3段階に評価した。また、前小葉間隔壁静脈の閉塞の有無を評価した。これらの病変に対して現存する3系統のPH治療薬 (Phosphodielastase 5 inhibitor: PDE5I, Endothelia receptor agonist: ERA , Prostaglandin I2: PGI2) の標的タンパク質の免疫染色を行いその染色程度を3段階に半定量評価した。【結果】第1群と第3群の肺高血圧症のいずれの病態においても、細動脈、細静脈、毛細血管病変が散在性に見られた。また血管内膜肥厚、中膜肥厚、外膜肥厚など様々な病変を認めたが、正常血管も混在しており、形態変化を伴わない血管攣縮が主体の病変があることが示唆された。また第1群と第3群の病変におけるターゲット蛋白の発現は類似しており、第1群で使用されている薬剤が第3群の肺血圧にも有効である可能性が示唆された。
3: やや遅れている
病理切片を使用した血管病変における形態、免疫組織化学解析は順調に進行しているが、細胞株を用いたin vitroの解析の進行が遅延している。
肺動脈細胞株、肺動脈平滑筋細胞株の購入はしたので、それらの細胞株を使用したin vitroでの解析を進める必要がある。また、病理組織検体に関しても血管周囲に存在する炎症細胞浸潤を評価し血管病変との相互関係を解析する必要がある。
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