研究課題/領域番号 |
15K08361
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
竹内 保 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50226990)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 悪性リンパ腫 / クロマチン再構成因子複合体 / ARID1A / BAF250a |
研究実績の概要 |
クロマチン再構成因子複合体機能不全が、さまざまな悪性腫瘍の発生、進行に関わることが明らかにされている。ARID1A (BAF250a)は酵母SWI1の哺乳類での相同分子で、クロマチン再構成因子複合体の主要な因子で、AT-rich interacting domainを介してDNAへの結合を受け持つ分子である。本研究ではARID1A遺伝子変異がもたらす悪性リンパ腫進行メカニズムの解明を分子病理学手法を用いて検討いていく。 当該年度は1年目にあたり、免疫組織学的にARID1Aの発現低下を、遠くにElonginAとの発現と比較検討した。その結果、約23%の悪性リンパ腫で、今回我々が作製したARID1A機能ドメインを認識する特異抗体で、ARID1Aタンパク質の発現低下、あるいは欠損が、見出された。興味深いことに、Elongin A発現強度とは相関性が見出され、特定のリンパ腫亜型では、特に60%以上の症例で発現低下が認められた。ARID1A-ElonginA pathway 異常で引き起こされる発現遺伝子の差異を、網羅的遺伝子解析でスクリーニングしたところ、数個の候補遺伝子産物が、ARID1A遺伝子変異、その発現低下で、有意に発現が上昇することが明らかになった。すなわち、これらの候補遺伝子群は、ARID1A変異悪性リンパ腫における標的分子となりうることが期待できる結果と考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目であるが、3か年計画の最終到達目標である、標的候補因子のスクリーニング段階を終えている。
|
今後の研究の推進方策 |
ARID1A変異悪性リンパ腫における標的分子となりうるのか、候補遺伝子産物の発現を検討し、また培養細胞株を用いて、制御方法(抗体療法が可能か)の検討を進めていく。
|