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2016 年度 実施状況報告書

ARID1A遺伝子変異がもたらす悪性リンパ腫進行メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K08361
研究機関岐阜大学

研究代表者

竹内 保  岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50226990)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードARID1A / クロマチン再構成因子複合体 / long non-coding RNA / NEAT1 / MALAT
研究実績の概要

ARID1A遺伝子変異がもたらす悪性リンパ腫進行メカニズムの解明のため、本年度は、悪性リンパ腫細胞で、ARID1A遺伝子発現をsiRNA法を用いて減少させ、生じる遺伝子発現の差を網羅的にmicroarray解析を用いて検討した。また、ARID1A発現異常のある悪性リンパ腫が、有意に予後が不良との解析結果を得た。興味深いことに網羅的遺伝子解析ではいくつかのタンパク質コード遺伝子の発現も変動したが、long non-coding RNAのNEAT-1, MALATの発現がARID1A発現低下、機能障害により約5倍以上に増加することが判明した。近年、NEAT-1、MALATは種々の固形癌で発現が増強しており癌細胞増殖、浸潤能力の増強とともにアポトーシス阻害を起こすことが判明しつつあり、本研究結果はクロマチン再構成因子複合体機能不全がnon-coding RNA発現を変え、腫瘍発育に関係していることを国内外に先駆けて明らかにしたと考える。また、悪性リンパ腫でのNEAT-1, MALATの過剰発現は詳細には明らかにされておらず、リンパ球で、ARID1Aの制御するクロマチン再構成因子複合体異常が、long non-coding RNAの発現制御を司っており、その抑制が悪性リンパ腫で崩壊している可能性があることを示唆する結果と考える。ほかの固形癌でも同様の病態が生じている可能性もあると思われる。NEAT-1, MALATの過剰発現がおこる分子メカニズムについて追加検討中である。さらにARID1A発現抑制がかかわるタンパク質コード遺伝子の発現変化は、いわばARID1A機能経路の下流にある分子メカニズムと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

クロマチン再構成因子複合体機能不全がnon-coding RNA発現を変え、腫瘍発育に関係しておることを国内外に先駆けて明らかにした。

今後の研究の推進方策

どのようにARID1Aの発現異常がlong non coding RNAの発現を増強させるのか、特に、核内でのparaspeckle. formationとクロマチン再構成の足場との関係から解明する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)

  • [雑誌論文] Downregulation of ARID1A, a component of the SWI/SNF chromatin remodeling complex, in breast cancer.2017

    • 著者名/発表者名
      Takao C, Morikawa A, Ohkubo H, Kito Y, Saigo C, Sakuratani T, Futamura M, Takeuchi T, Yoshida K.
    • 雑誌名

      J Cancer.

      巻: 8 ページ: 1-8

    • DOI

      10.3390/ijms18040866.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Expression of TMEM207 in Colorectal Cancer: Relation between TMEM207 and Intelectin-1.2016

    • 著者名/発表者名
      Maeda K, Saigo C, Kito Y, Sakuratani T, Yoshida K, Takeuchi T.
    • 雑誌名

      J Cancer

      巻: 7 ページ: 207-213

    • DOI

      10.7150/jca.13732

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Immunoreactivity of a Monoclonal Antibody to SS18-SSX Fusion Gene Product in Formalin-fixed Paraffin-embedded Synovial Sarcoma Tissue Section.2016

    • 著者名/発表者名
      Saigo C, Kito Y, Takeuchi T.
    • 雑誌名

      Appl Immunohistochem Mol Morphol

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1097/PAI.0000000000000413

    • 査読あり / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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