研究課題
マストサイトーシス(色素性蕁麻疹)は、受容体型チロシンキナーゼKIT遺伝子に機能獲得性変異が生じマスト細胞が腫瘍性増殖することで引き起こされる疾患である。この疾患のヒトでの発生頻度は低いが、アナフィラキシーショックを起こしやすいことから治療が必要とされる。しかしながら現時点では対症療法しか存在せず、根治療法は存在しない。我々は、ヒトマストサイトーシス患者より樹立された細胞株HMC1およびLAD2が、新規表面抗原としてCarcinoembryonic antigen-related cell adhesion molecule 1(CEACAM1)を発現することを見出しており、本研究ではCEACAM1がマストサイトーシスの診断マーカーかつ治療標的となりうるかを検討してきた。我々はまずヒトマストサイトーシス臨床検体におけるCEACAM1の発現状況を検討した。ヒトマストサイトーシスを含む皮膚病理検体について、19例中5例(26.3%)にCEACAM1の発現がみられた。非特異的な炎症と診断された皮膚病理検体に含まれる非腫瘍性マスト細胞は全例(20例中20例)に発現がみられた。ヒトマストサイトーシス患者骨髄細胞での発現も評価予定であり、現在共同研究者にサンプル分譲を依頼中である。ヒトマストサイトーシス臨床検体におけるCEACAM1発現が確認されたため、我々はヒトマストサイトーシス細胞株HMC1・LAD2を用いて、その機能を解析することとした。現在、shRNA法でCEACAM1ノックダウン細胞株を作成中である。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通りの進行状況である。
当初の予定通り、今年度はshRNA法でCEACAM1ノックダウン細胞株を作成し、その表現型を評価することでマストサイトーシス細胞におけるCEACAM1の機能が明らかになると推測される。
海外から購入の試薬について、為替でずれが生じた。
今年度の試薬購入に充てる。
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