研究課題/領域番号 |
15K08363
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
和田 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80521731)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血液 / リンパ腫 / 低酸素 / ケモカインレセプター / 形質細胞分化 |
研究実績の概要 |
MWCL-1[リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)細胞株]をB細胞(CD20陽性)と形質細胞(CD138陽性)を認識する抗体でフローサイトメトリー解析すると、大半の細胞はCD20或いはCD138が陽性であるが、CD20陰性CD138陰性細胞群が少数存在し、このCD20陰性CD138陰性細胞群は未熟で多分化能を有しアポトーシス抵抗性あることを既に報告した(Lab Invest, 2014)。そして、CD138陽性の分化細胞群が他の細胞群よりアポトーシス試験に脆弱で、LPL臨床検体でもCD138陽性細胞の多くがアポトーシスマーカー陽性であることも既に報告した(Lab Invest, 2014)。MWCL-1のCD20陰性CD138陰性細胞群で発現する陽性マーカーと、どのような条件下でCD20陰性CD138陰性細胞群が増加するかを検討したところ、CXCR7がCD20陰性CD138陰性細胞群で発現する陽性マーカーの候補であり、低酸素条件およびCXCL12-CXCR7シグナル下でCD20陰性CD138陰性細胞群が増加することが分かった(Lab Invest, 2016)。一方、プラズマ照射による傷病組織の治癒・再生、細胞分化に関する有用な効果が近年報告されているので、プラズマ照射培養液(PAM)のLPLへの効果を検討したところ、LPL細胞株でPAM培養によりCD138陽性の形質細胞分化が促進されることが分かった。これらの結果は、CXCR7を標的としたLPL治療法の開発や、PAMによるLPLの分化誘導療法につながる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
MWCL-1のCD20陰性CD138陰性細胞群で発現する陽性マーカーを同定し、どのような条件下でCD20陰性CD138陰性細胞群が増加するかを検討するのが研究目的だが、CXCR7がCD20陰性CD138陰性細胞群で発現する陽性マーカーの候補であり、低酸素条件およびCXCL12-CXCR7シグナル下でCD20陰性CD138陰性細胞群が増加することが分かった。そのうえで、MWCL-1のCD20陰性CD138陰性細胞群で発現する他の陽性マーカーの同定を試みている。或いはLPLでCD138陽性の形質細胞分化を促進する因子について検討している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を学会発表し、discussionを積み重ねつつ、MWCL-1のCD20陰性CD138陰性細胞群で発現する他の陽性マーカーの同定を試みる。或いはLPLでCD138陽性の形質細胞分化を促進する因子について更に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究にかかる費用は抗体などの試薬代、消耗品費が多くを占める。これらの費用は研究の試行錯誤に依存し、研究を進めてみないと幾らかかるか厳密には分からない。その結果、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
抗体などの試薬代、消耗品費を当初の使用計画以上に使う余裕が少しあるので、その分、研究の試行錯誤をより行う。
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